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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

~豆腐メーカーと戦略を共にできるか~

大豆はコメと異なり、生産量のほとんどが加工されて食卓に届く。そのため、加工業者のニーズと切り離せない作物である。今回は、国産の食用大豆の使用量が最も多い豆腐用大豆に注目し、今後の大豆生産のあり方を考えてみたい。 (取材・まとめ/平井ゆか)
豆腐業界の動きは、大豆の品種の選択、品質の管理や流通に関わってくる。豆腐業界では昨今、どのような動きを見せているのか。
豆腐業界は、長きにわたって消費量の伸び悩みと販売価格の低迷のなか苦境に立たされてきた。豆腐製造業者数でみると数十年にわたって年々減少傾向にある。さらに昨年からの国産大豆の価格高騰によって、ついに経営が苦しくなった中小零細メーカーが急激に淘汰されている状況だ。結果、大手メーカーとこだわりのある町の豆腐屋との二極化が進んでいる。
大豆業界では、10年ほど前から戦略を転換してきた。大手メーカーでは、国産大豆の商品は「国産」を前面に打ち出した表示をしたり、輸入大豆の商品は凝固剤や形状、製法の特色を出したりするなど、商品の多様化を進めている。一方、町の豆腐屋のなかには、地大豆などの特徴のある国産大豆を使用し、大手メーカーとの差別化を明確に打ち出す傾向がみられる。
このような動きの背景と、両者の国産大豆に対するニーズの変化を見ていくとともに、そこから、今後の国産大豆に求められる品種やその品質、流通のあり方についてヒントを得ていきたい。

大手メーカーが握る
国産大豆の主導権

まず、国産大豆の需要が高まっている理由から整理したい。
豆腐業界が長らく低迷してきたのは、豆腐という食品の宿命と特性にある。そもそも日配品である豆腐は店頭価格を上げにくい商品である。牛乳や玉子と同様に、その日の目玉商品として特売されることも多い。人件費などのコストが増加するなか、デフレや若い世代の豆腐離れなどによってさらに価格競争に陥っていったというところだ。
その状況から脱するために、10年ほど前から大手メーカーが「国産」を謳った商品を増やし始めた。
落札価格でみると、国産大豆は2005年度産から12年度産まで価格安の傾向にあった。その価格に反応したメーカーが、商品群の一部を輸入大豆から国産大豆に切り替える動きをみせた。

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