ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

~豆腐メーカーと戦略を共にできるか~


販売価格も「国産」と表示すれば、輸入大豆の豆腐より高く設定できるメリットがある。遺伝子組み換え大豆への抵抗感や安心・安全への関心など、もろもろの背景から国産志向が起きたためである。また、食用大豆の自給率は約20%であることからも、国産というだけで希少価値が生じる。
さらに、凝固剤や機械設備の進化によって加工技術が進んだことも後押ししている。一般的に豆腐に使用される大豆の量は、1丁300gに対して約77~90gといわれているが、良し悪しは別として、従来品より少ない原料でもつくることができる。また、新たな機械設備の投入により、人件費の削減も可能になっている。
つまり、国産大豆が輸入大豆に比べて倍の仕入れ値であっても、販売価格を高く設定ができて、原価を抑える機械設備があれば、国産大豆のメリットが出てくるというしくみだ。
同時に、産地・品種などで銘打ちされた商品よりも、「国産大豆100%使用」が増え、大手メーカーと町の豆腐屋との差別化がしにくくなってきている。これは、産地の表示に、大豆の生産地なのか豆腐の製造場所なのかわかりにくいという消費者の声が反映されたことと、大豆の産地と品種を特定することによって、特定の大豆の生産量が減少すると商品を欠品させてしまうというリスクを避けるためだ。たとえば全国展開されている豆腐は、「九州産フクユタカ」「新潟産エンレイ」など、大ロット流通が可能な品種に限られている。
こうして大手メーカーが豆腐用の国産大豆市場の主導権を握るようになったところで、国内の13年度産の大豆生産量の減少により、現在、10年に一度といわれる国産大豆の価格高騰が起きている。4月は輸入大豆が約7000円/60kgで推移しているなか、国産大豆はおおむね1万5000円/60kgという2倍の価格で推移している。国産大豆の価格は品種による開きがあり、高いものは2万円を超える。
大手メーカーにとっても、国産大豆の調達コストの変動は頭を抱える状況であるという。しかし、一度作り上げた国産大豆の商品をすぐに輸入大豆の商品に切り替えることは難しい。現段階では、収量と価格の安定を待ちながら国産大豆の商品をキープしている状況といえよう。
この高価格のあおりを受けて倒産が増えているのが、中小零細の町の豆腐屋である。特に国産大豆の豆腐を中~低価格帯の商品を販売してきた中小零細は、大手メーカーの商品と差別化がしにくく、原価を抑える機械設備の投入も難しいためだ。

関連記事

powered by weblio