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岡本信一の科学する農業

土壌改良のいろいろな手段とその特徴

前回の連載では、土づくりの本質について、はぐらかしてしまったように思うので、今回からはその辺りを掘り下げていきたい。
私はこれまで、土づくりというのは土壌の物理性を作物の栽培に適した状態にすることだと書いてきた。特に、排水性や土壌の硬度分布といった土壌の物理性に注目してきた。
土壌改良にはいろいろな方法がある。それぞれ物理性の改善にどのような効果を及ぼすのだろうか。数値データがないので推測に過ぎないのだが、書いてみることにしよう。

土壌改良の手段によって効果や注意点は異なる

土壌改良の手段によって、もちろん効果は違うはずだ。どのような土壌改良の手段があるのか、思いつくままに、挙げてみよう。 
最もよく聞くのが、有機物の投入である。これには大きく分けて2つの方法がある。堆厩肥の投入と緑肥の鋤き込みである。
次に土壌を直接投入するという方法がある。真っ先に客土を思い浮かべる方が多いと思うが、ゼオライトや腐植質の資材などの投入もこれに当たるだろう。
その他の資材として、考えられるのは、微生物資材の投入である。微生物の種類も、商品も多岐にわたる。
もちろん耕起作業も、土壌改良の手段に含まれるが、今回はこれについては触れない。
では、それぞれの手段ごとに、順番にその効果を検討してみよう。

●堆厩肥の投入
有機物の中でも、堆厩肥の投入は、いわゆる土づくりとして最もよく行なわれる方法である。特に堆厩肥が潤沢な手に入る地域では、肥料の代わりに施用されることも多い。
土壌に有機物を投入し、腐食を増やすことが目的である。その土壌改良効果は、耐厩肥に含まれる有機物の量に依存する。つまり、C/N比の話で、有機質の割合が多ければ多いほど、炭素成分が多く、土壌改良効果を期待できる。さらに、厩肥(動物性の糞尿などを発酵させたもの)については、肥料としての効果を期待している部分もある。
しかし、現場では手に入る堆厩肥を10a当たり〇〇t投入しているというケースが多い。堆厩肥の質についての言及がないばかりか、「なぜその量の堆厩肥を投入するのですか?」と質問をしても、明確な答えはほとんど返ってこない。つまり、投入量の根拠はほとんどないのだ。
効果がよくわからないなかで、堆厩肥の投入を行なっている場合には、後作に問題を残すような投入方法をするべきではない。これは、当然のことだが、日常的に堆厩肥を投入している人の中には、病気の蔓延を招いたり、発芽不良、活着不良につながったりしている事例も多い。無造作な堆厩肥の投入がこういった悪影響を及ぼしていることは、忘れてはならないと思う。

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