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イベントレポート

町民の誇りがつくりあげた街並み 山形県金山町を訪ねて


「根が混み合ってくると保水できず、水が走り、土砂崩れにつながります。除伐や間伐をして丈夫な根をつくれば保水の力が増し、山とふもとを守ります。」
自分が植えた苗木が80年後、金山住宅になるまで見届けることができる林業家はまずいないだろう。それでも金山杉育てつづける理由を尋ねると星川氏はこう話した。
「それは、プライドですね」
金山大工の棟梁、渡部氏は金山杉をこう評する。
「金山杉は年輪の目が詰まっていて丈夫です。それに、辺材の『白太(しろた)』と芯材の『赤太(あかた)』がきれいです。壁にこういった木材を使うと、見る人の気持ちが癒されますよね。節がある材木は丈夫なので、梁などに使います」
大工の仕事は、木材を適材適所に使うことだという。床の間や座敷には節のない白太や赤太を、梁(はり)には節のある丈夫な木材を使う。
金山大工の仕事は、建てて終わるわけではない。少しずつ補修しながら何十年もその家と付き合うのだ。たとえば壁の一部が傷んだら、その傷んだ板だけ外して交換する。建て主とも長い付き合いとなる。
そこにはやはり大工の誇りがうかがえる。
「木は、二度生きます。第一の人生は、植林されてから自力で生長できるまで、林業の方々に手厚く保護されながら生きる人生です。。その間、山の水をきれいにしてくれます。第二の人生は、伐採されて、我々に身請けされてからです。100年近く山で過ごした第一の人生のあと、もう100年、家として第二の人生をおくります。その第二の人生の100年を全うできるようにするのが我々の仕事です」

金山町のこれからの
30年を考える

金山町「街並みづくり100年運動」は、この30年で一定の成果を得たといえる。住宅、公園、施設、飲食店が美しい街並みをつくりあげ、98年には、木材をふんだんに使った滞在型リゾートホテル「ホテルシェーネスハイム金山」もオープンし、観光客の受け入れ体制も整った。
しかし、運動のスタートから30年、課題も見えてきた。金山住宅よりも安く早く建築でき、雪への耐性のあるハウスメーカーの家を建てたいと思う人もいる。金山杉の育成も「やまがた緑環境税」に頼るところも大きい。
全国の農村を巡り、また、企業経営も経験してきた松尾氏は、金山住宅のこれからについてこう語った。
「最初の計画から30年たてばどんなことでも課題は出てきます。計画を見直し柔軟に変える努力をしていくことが大切なのです。ハウスメーカーに負けないよう継続的に改善してくことも今後の金山住宅に求められるでしょう」

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