記事閲覧
【新・農業経営者ルポ】
未来を見る目で顧客満足を追い求める世界で唯一の「梅山豚屋」
- (株)塚原牧場 代表取締役 塚原昇
- 第132回 2015年06月25日
- この記事をPDFで読む
茨城県猿島郡境町。商店街を抜け、スーパーマーケットから15分ほど歩くと、住宅街のど真ん中に畜産用飼料タンクが見えてくる。そこが(株)塚原牧場である。典型的な畜舎が立ち並ぶものの、しんと静まり返り、畜産特有の臭いが全くなく、本当に豚を飼っているのかと驚くほどだ。
ここでは、母豚規模100頭、常時飼養頭数約2000頭の養豚経営を行なっている。飼っているのは世界的にも珍しい中国原産の「梅山豚(メイシャントン)」だ。代表取締役である塚原昇の父・弘が1989年に中国へ買い付けに行って以来、26年間この地で「梅山豚屋」として経営を続けている。
生協産直をきっかけに
塚原の実家はもともと稲作をしていたが、ある時、転機が訪れる。50年後半に、埼玉県大学生協で活動していた叔父から「学食のクジラ肉を豚肉に換えたい。豚肉を持ってきてくれないか」と要望が入ったのだ。
当時は豚1頭すら飼っていなかった父だが、この要望で一念発起し、県のセンターで豚の飼養管理に関する研修を受けて、早速、養豚に取り組んだ。また、大学生協に卸すためには、後の豚枝肉のカット設備が必要であることから、自宅横に食肉センターを建設。その運営のために、近隣の養豚家40軒を束ねた協同農産(株)という出荷者組合兼販売会社も立ち上げた。そうして着々と準備を整え、あっという間に大学生協への産直を開始し、ピーク時には大学生協への販売だけで売上70億円、130人を抱えていた。
そんな父を見ながら育った塚原は、農家を継ごうとは思っておらず、「父はライバル。いつか自分も事業家になりたい」という思いを強く抱いていたという。その夢をかなえるため、大学では労働法を専攻。卒業後はベンチャーキャピタル(投資ファンド)に就職を決めた。これも、よりたくさんの社長と会い、経営を学びたいという気持ちからだった。数々の企業を上場に導いていく中で、自分でもそろそろ経営をやってみたいと思うようになった5年目、93年に父から「梅山豚をやらないか」と声が掛かった。
生産効率、収益性の悪い
梅山豚は、日本はもとより、原産国である中国でも原種を見ることが難しい希少品種である。72年の日中国交正常化の際、ジャイアントパンダの次に中国から農林省(当時)に兄弟豚10頭が寄贈された。そこから何軒かの農家に払い下げが行なわれたが、梅山豚をメインに飼養する養豚場は、後に導入した塚原牧場を置いて他に残っていない。これには、梅山豚という品種特有の理由がある。
ここでは、母豚規模100頭、常時飼養頭数約2000頭の養豚経営を行なっている。飼っているのは世界的にも珍しい中国原産の「梅山豚(メイシャントン)」だ。代表取締役である塚原昇の父・弘が1989年に中国へ買い付けに行って以来、26年間この地で「梅山豚屋」として経営を続けている。
生協産直をきっかけに
養豚専業へ
塚原の実家はもともと稲作をしていたが、ある時、転機が訪れる。50年後半に、埼玉県大学生協で活動していた叔父から「学食のクジラ肉を豚肉に換えたい。豚肉を持ってきてくれないか」と要望が入ったのだ。
当時は豚1頭すら飼っていなかった父だが、この要望で一念発起し、県のセンターで豚の飼養管理に関する研修を受けて、早速、養豚に取り組んだ。また、大学生協に卸すためには、後の豚枝肉のカット設備が必要であることから、自宅横に食肉センターを建設。その運営のために、近隣の養豚家40軒を束ねた協同農産(株)という出荷者組合兼販売会社も立ち上げた。そうして着々と準備を整え、あっという間に大学生協への産直を開始し、ピーク時には大学生協への販売だけで売上70億円、130人を抱えていた。
そんな父を見ながら育った塚原は、農家を継ごうとは思っておらず、「父はライバル。いつか自分も事業家になりたい」という思いを強く抱いていたという。その夢をかなえるため、大学では労働法を専攻。卒業後はベンチャーキャピタル(投資ファンド)に就職を決めた。これも、よりたくさんの社長と会い、経営を学びたいという気持ちからだった。数々の企業を上場に導いていく中で、自分でもそろそろ経営をやってみたいと思うようになった5年目、93年に父から「梅山豚をやらないか」と声が掛かった。
生産効率、収益性の悪い
「梅山豚」の導入へ
梅山豚は、日本はもとより、原産国である中国でも原種を見ることが難しい希少品種である。72年の日中国交正常化の際、ジャイアントパンダの次に中国から農林省(当時)に兄弟豚10頭が寄贈された。そこから何軒かの農家に払い下げが行なわれたが、梅山豚をメインに飼養する養豚場は、後に導入した塚原牧場を置いて他に残っていない。これには、梅山豚という品種特有の理由がある。
会員の方はここからログイン
塚原昇 ツカハラノボル
(株)塚原牧場
代表取締役
1966年生まれ。千葉大学法経学部を卒業後、ベンチャーキャピタルに就職。5年間勤めた後、1993年に(有)ACT21(現(株)ACT21)の資本を買い取り、取締役となる。養豚経営の活路を見出すため、1995年から筑波大学大学院環境科学研究科へ進学(修士:環境科学)。その後、筑波大学大学院博士後期課程ビジネス科学研究科中退。2002年(株)ACT21より(株)塚原牧場を分離独立し代表取締役となる。(株)塚原牧場は日本唯一の梅山豚専業農場で、母豚100頭一貫経営。その他グループでエコフィード加工・流通、食肉加工・流通事業なども手掛ける
農業経営者ルポ
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)