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一般的な肉豚品種は「三元豚」と呼ばれるもので、「ランドレース(L)」と「大ヨークシャー(W)」のF1品種(LW)に「デュロック(D)」を掛け合わせた「LWD」が最も多い。これらの品種では、1産当たり10頭程度生まれるのに対して、梅山豚は一度に20頭近く分娩する。たくさん産むのは一見利点のようだが、通常1.2~1.5kgで生まれるところ、梅山豚の生時体重はその半分の700g程度しかない。つまり、多く生まれる分、全頭が超未熟児で生まれてくる。もちろん事故率も高く、手厚い管理をしないと半数は死亡してしまう。飼いやすいLWDが広まった時期でもあり、払い下げ農家のほとんどが面倒な梅山豚を飼うことを断念していった。
そんな中、塚原の父はあえてその流れに逆行し、89年に雄2頭、雌10頭を中国から導入した。中国で梅山豚が穀類を食べずに育っているドキュメンタリーを見て、その生態にいたく感激したからだった。
協同農産の子会社(有)ACT21でLWDと梅山豚を同時に飼うようになり4年が経つころ、社内で梅山豚を飼うことに反対の声が挙がるようになっていた。梅山豚は生産効率が悪い上、LWDに比べて極厚の脂や独特の体型は国内の豚枝肉格付の規格に合わず、半値でしか売れない。そんな豚をこれ以上飼い続けるのはいかがなものか、というのだ。
そこに現れたのが経営を引き継ぎたいという塚原である。反対を唱えた役員たちも「渡りに船」と経営委譲に賛成した。株を塚原が買い取り、協同農産からACT21を切り離す形でスムーズに独立が成立した。
塚原はこのとき、父を自社の経営に誘った。父はこれに応じて、これまで務めていた協同農産の社長の任を降り、会長という形で塚原牧場の経営に関わっていくようになった。
大学院に進学して見つけた
エコフィードの魅力
経営を継いだはいいが、前述の通り生産効率も利益率も最悪の豚である。「養豚の経営構造を何ら知らないまま経営者になったことを後悔しました」と塚原は振り返る。
生産苦のほか、周囲からの臭いの苦情にも悩まされた。その上、当時は家畜排せつ物処理法などの畜産環境関連法が次々と施行された時期で、家畜ふん尿処理施設への設備投資が必要になるなど、まさに踏んだり蹴ったりの状況だった。
「臭いや汚物を出し、生産も思うようにいかない。しかも、飼料はほぼ輸入に頼っている。日本で本当に畜産をやる意義があるのか?」と悩んだ塚原は、何かひとつでもヒントが見つかればと、わらにもすがる思いで筑波大学大学院へ進学し、環境科学を専攻した。そこで出会ったのがエコフィードである。
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塚原昇 ツカハラノボル
(株)塚原牧場
代表取締役
1966年生まれ。千葉大学法経学部を卒業後、ベンチャーキャピタルに就職。5年間勤めた後、1993年に(有)ACT21(現(株)ACT21)の資本を買い取り、取締役となる。養豚経営の活路を見出すため、1995年から筑波大学大学院環境科学研究科へ進学(修士:環境科学)。その後、筑波大学大学院博士後期課程ビジネス科学研究科中退。2002年(株)ACT21より(株)塚原牧場を分離独立し代表取締役となる。(株)塚原牧場は日本唯一の梅山豚専業農場で、母豚100頭一貫経営。その他グループでエコフィード加工・流通、食肉加工・流通事業なども手掛ける
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