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【農・業界】
(有)板倉農産 (宮城県)、海水農法によるコメの商品開発
- 編集部
- 2006年12月01日
海の恵みたっぷりの「三陸の煌めき」発売
宮城県登米市の(有)板倉農産が、海水・牡蠣殻・魚類質肥料を利用して「あきたこまち」を栽培し、「三陸の煌めき」という商品名で11月より販売を開始した。
価格は5kg入りで3150円(税込)。食味値は89.0(ニレコ米食味品質分析計6500による)と平均値(84.7)を上回り、平成18年度宮城県農林産物品評会の水稲うるち玄米審査会でも3等の評価を得た。
「古い農書(文献名などは不明とのこと)で海水を入れる農法を見たことがあって始めたが、思ってもみなかった好結果」と、板倉農産専務の阿部善文氏は語る。
今回の取り組みには、仙台市の海産物卸業者、(株)三陸オーシャンの木村達男社長の理解もあった。「もともと循環型農業には興味があり、お手伝いさせていただいた」(木村氏)とのことで、海水運搬や牡蠣殻の提供など全面的に協力している。
海水には、マグネシウムやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれるが、塩分濃度が高くイネを枯れさせてしまう危険も併せ持つ。阿部氏は塩害のデータから「塩分濃度1%以下なら害はない」と推測。収穫の約1カ月前の開花時期に、海水1に対して真水3の割合で水田に入れた。海水投与後、目に見えてイネの葉色に変化が現れたという。
さらにカルシウムの豊富な牡蠣殻を木酢液で溶かして撒き、病害虫に対する抵抗性の強化も図った。
収穫してみると、「驚きの出来栄えだった。粘りがあって食味がよく、ツヤもある」(阿部氏)という仕上がりで、ユーザーアンケートでも約8割が「おいしい」と回答。海水を採取した石巻市の寿司屋やホテルなどからも大口注文の問い合わせが相次ぎ、反響の大きさに驚いているという(ただし数量的に今年は対応できず、来年は契約栽培を検討中)。
今回の販売量は全部で1400kg。直販のほかに三陸オーシャンでも100袋を販売する。
「海水を入れる回数を増やしたり、暗渠を作る際に籾殻の代わりに牡蠣殻を使用するなど、試したいことはたくさんある」(阿部氏)と、板倉農産では来年以降もさらに研究を進めていく予定だ。
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