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岡本信一の科学する農業

土壌改良は費用対効果で考えよう

優れた経営者は、何をするにも費用対効果をきちんと考える。 差が付くのは効果の把握である。費用は金銭だから、帳簿の記帳がいい加減でも割と把握しやすい。ところが、効果は測定・評価しにくいものだ。それで金を使わないようにしているという人もいるが、一方、効果の測定・評価もせずに「良かれと思って」お金を使い続ける人もいる。その結果、当然お金は無駄になる。

圃場データの記録が経営上重要になる

農業においてもこの差は大きい。費用対効果を考えることができる人は、効果のあることだけに支出することで、不要な支出を抑えるだけでなく、収穫の量を増やしていく。だから、費用対効果を考える生産者は経営的に優れている。今回はこの費用対効果というものを、農業技術、特に土壌改良について考えたい。
経営上、効果は測定・評価しにくいと述べたが、農業では特にこれが難しい。というのも、ある機材やある資材を利用した結果として効果がどのようであったかを知るには、収量や品質などを正確に把握する必要がある。それは、「よく穫れた」とか「おいしくなった」というような曖昧かつ主観的な評価ではなく、数値やイエス・ノーの形の記録という意味だ。しかも、そうしたデータを、新しい機材・資材の使用前後で比較できるように、ある程度の期間にわたってえる必要がある。
すなわち、仕事と結果の記録が必要なのである。施設園芸ではこの習慣がかなり浸透してきているが、露地栽培ではまだまだこれを面倒だと思っている生産者は多い。しかし、圃場データをどのように残していくかは、経営上非常に重要になるに違いない。かつて農家の多くがどんぶり勘定だったが、いまやほとんどの農家がきちんとした経理を行なっている。同様の変化が、圃場データの記録でも起こってくるだろう。

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