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土門「辛」聞

TPPの交渉は停滞、一方の農協関係者は心根変わらず政府頼み

農協改革が一段落した連休明け、東北のとある農協で組合長選挙があった。普通なら自薦他薦が入り交じって争うのに、誰も手を挙げてこず、最後はくじ引きで決めたそうだ。
くじ引きといっても、いろいろある。定番はあみだくじ、ガラポン抽選器、三角くじなど。その農協に事実を確かめてみたら、応対した担当者は、「組合長を選ぶとき、部屋から出されましたので、どうやって選ばれたのか、確認の方法がありませんでした」と、くじ引き説を認めたかのようなコメント。
農協に限らず、どんな組織でも理事会は議事録の作成が義務づけられているが、その農協では、まさか「組合長選出にあたり、農協職員を人払いしたあと、理事のひとりが用意してきた紙にボールペンであみだくじを作成、公明正大にくじを引いたところ、○○さんが当選と決定しました」とでも書いたのだろうか。
「貧乏くじ」を引いたのは、篤農家的存在で、理事のなかでも人望の厚かったAさんだった。結果オーライだったが、理事全員が組合長になることにどん引きした理由を知って、思わず笑ってしまった。農協改革を早とちりしたのだ。教えてくれたのは、米農家で事情通の我が知人。
「組合長になったら、700万円ぐらいはもらえます。会議でも、市長とか議長と警察署長の横に連なる席次。勲章ももらえ、地元の名士です。誰もがやりたいポストですが、今回ばかりは、みんながどん引きする珍事が起きました。農協改革で農協も株式会社化という方向が出てきたのを早とちりして、貸し付けで事故でも起こしたら、その分の個人保証が求められると勘違いしたようです」
組合長でなくても理事であれば、今でも株主代表訴訟の対象になることをご存知なかったようだ。理事や監事は、その任務遂行にあたって、善管注意義務を怠って損害を生じさせた場合は、その損害賠償の責を負うのである。農協の理事や監事が基本的なことさえ知らなかったのかと、ちょっと呆れてしまった。

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