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【土門「辛」聞】
TPPの交渉は停滞、一方の農協関係者は心根変わらず政府頼み
- 土門剛
- 第130回 2015年06月25日
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くじ引きといっても、いろいろある。定番はあみだくじ、ガラポン抽選器、三角くじなど。その農協に事実を確かめてみたら、応対した担当者は、「組合長を選ぶとき、部屋から出されましたので、どうやって選ばれたのか、確認の方法がありませんでした」と、くじ引き説を認めたかのようなコメント。
農協に限らず、どんな組織でも理事会は議事録の作成が義務づけられているが、その農協では、まさか「組合長選出にあたり、農協職員を人払いしたあと、理事のひとりが用意してきた紙にボールペンであみだくじを作成、公明正大にくじを引いたところ、○○さんが当選と決定しました」とでも書いたのだろうか。
「貧乏くじ」を引いたのは、篤農家的存在で、理事のなかでも人望の厚かったAさんだった。結果オーライだったが、理事全員が組合長になることにどん引きした理由を知って、思わず笑ってしまった。農協改革を早とちりしたのだ。教えてくれたのは、米農家で事情通の我が知人。
「組合長になったら、700万円ぐらいはもらえます。会議でも、市長とか議長と警察署長の横に連なる席次。勲章ももらえ、地元の名士です。誰もがやりたいポストですが、今回ばかりは、みんながどん引きする珍事が起きました。農協改革で農協も株式会社化という方向が出てきたのを早とちりして、貸し付けで事故でも起こしたら、その分の個人保証が求められると勘違いしたようです」
組合長でなくても理事であれば、今でも株主代表訴訟の対象になることをご存知なかったようだ。理事や監事は、その任務遂行にあたって、善管注意義務を怠って損害を生じさせた場合は、その損害賠償の責を負うのである。農協の理事や監事が基本的なことさえ知らなかったのかと、ちょっと呆れてしまった。
農協に限らず、どんな組織でも理事会は議事録の作成が義務づけられているが、その農協では、まさか「組合長選出にあたり、農協職員を人払いしたあと、理事のひとりが用意してきた紙にボールペンであみだくじを作成、公明正大にくじを引いたところ、○○さんが当選と決定しました」とでも書いたのだろうか。
「貧乏くじ」を引いたのは、篤農家的存在で、理事のなかでも人望の厚かったAさんだった。結果オーライだったが、理事全員が組合長になることにどん引きした理由を知って、思わず笑ってしまった。農協改革を早とちりしたのだ。教えてくれたのは、米農家で事情通の我が知人。
「組合長になったら、700万円ぐらいはもらえます。会議でも、市長とか議長と警察署長の横に連なる席次。勲章ももらえ、地元の名士です。誰もがやりたいポストですが、今回ばかりは、みんながどん引きする珍事が起きました。農協改革で農協も株式会社化という方向が出てきたのを早とちりして、貸し付けで事故でも起こしたら、その分の個人保証が求められると勘違いしたようです」
組合長でなくても理事であれば、今でも株主代表訴訟の対象になることをご存知なかったようだ。理事や監事は、その任務遂行にあたって、善管注意義務を怠って損害を生じさせた場合は、その損害賠償の責を負うのである。農協の理事や監事が基本的なことさえ知らなかったのかと、ちょっと呆れてしまった。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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