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人生・農業リセット再出発

素人発想の酒造りが世界へ飛翔

古代では女性が米を噛みつぶして唾液を混ぜてつぼに吐き、発酵させて酒を造った。神に供えるお神酒。「神」「噛み」「かみさん」と語彙が派生する。主婦を刀自と呼び、神事は卑弥呼のように女性が主導権を握っていた。 
 種子は熱や凍結にさらされると身を守ろうと表面にうまみ成分のアミノ酸の防護膜を作るから、酒造りは寒仕込みが最適となる。夏の耕作だけの農民には農閑期の冬の酒造りは都合が良かった。男衆の酒造りが台頭して杜氏となり、出稼ぎで全国に足を延ばしては蔵元と契約して銘酒を生み出す。杜氏は蔵元から一括請負の決まりだから、杜氏の親方に口を挟んではいけない丸投げである。

 造り酒屋は大きな蔵の建った富豪の象徴だったが、最近は零細企業になった。不況の田舎の蔵元で杜氏が逃げ出して酒が造れない。江戸時代から続く蔵元を廃業するしかなく、残った製造経験ゼロの従業員4人だけで素人の酒造りが始まった。

 桜井青年は筆者に自己紹介をした。小学校の卒業生は5人だけの過疎地、山口県山間部で半径5kmの住人は250人。「山口の旭酒造?」。聞いて驚いた。獺祭! 獺は「カワウソ」と読むそうで、捕らえた魚を祭みたいに川岸に並べる習性があるとか。

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