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作った器は壊さず、新たな仕事を作る
人手が必要なケールを生産するために、派遣労働者や実習生、ワーホリに活路を求めた。しかし、そのケールも青汁メーカーの販売不振をきっかけに昨年で契約が終わった。必然的にワーホリの雇用人数も減らしているが、ゼロにはしていない。この大所帯を生かそうと、畑作4品やケールに次ぐ作物を数年前から取り入れてきた。
「せっかくこうやってワーホリを活用するノウハウができたんだから、ケールがなくなったからといって、まるっきりやめちゃうのももったいない。だったら、これをうまく活かしながら、手間がかかってもお金になるものを作ろうということで年間を通して仕事できる作物の栽培体系を考えてきたんだよね。そのなかで拡大してきたのがキャベツ。6年前から始めて、去年と今年は6haに作付けした。収穫は農協が委託する民間コントラクターに出すこともできるんだけど、金額が高いから手作業で従業員にやってもらうかどうか悩んでいるところだね。ほかには生食用の山ワサビが1.3ha。これは十勝管内でグループを作って出荷している。栽培している人自体が少ないから引き合いも多くて好調だね。あとは行者ニンニクが60a、サツマイモが10a、今年からは本格的にアスパラガスも始めたよ。雨の日の仕事としてはイチゴの苗があって、ランナーで増えていく苗をポットに入れて根付かせている。面積でいうと50a分くらいかな。冬になると当然やることも限られてくるけど、山ワサビと行者ニンニクは40坪の雪室で貯蔵しておいて出荷するから2、3人は雇用しておいても大丈夫だね。もうからないけど、コテージもあることだから有効に活用しないとね」
そのコテージについて触れたい。村瀬の自宅は100坪のログハウスである。昭和の終わりに着工し、彼だけの手で5年の歳月をかけて完成させた。そのときの経験を生かし、実習生の受け入れに際して2010年に4棟のコテージを建設している。うち、1棟はこれまた自力で手がけたそうだ。
「実習生はもういないし、ワーホリも去年に比べれば半分以下になったので、せっかく建てたコテージに空きが出たんだよ。この前の冬に家族でコテージのことを話し合ったら、農場で働いている次男の奥さんが宿泊施設の運営をやりますと言ってくれたんだよね。彼女が対応できないときは自分がフォローするということで、ちょうどこの6月にオープンしたばかり。農家民宿ということで、農場や町内産の農産物を提供して自炊してもらいながら、ジャガイモなんかの収穫体験だったり、カヌーや熱気球などのアウトドア体験ができるメニューにしてある。まだフェイスブックとブログだけで、ほとんど宣伝していないから予約がちょっとだけだけど、これからの夏が本番かな。冬はあまり来ないだろうけど営業することにしているよ」
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村瀬裕志 ムラセヒロシ
村瀬ファーム
代表
1956年、北海道鹿追町生まれ。酪農学園大学短期大学部を卒業後、ニュージーランドで酪農実習を行なう。その後、実家で就農すると、82年に畑作専業へ転換する。中国人技能実習生に加え、2012年からワーキング・ホリデーを利用し、アジアやドイツ、オーストラリアなどから年間10人以上の従業員を受け入れてきた。 http://www.murasefarm.com/
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