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都会とのつながりがキーポイントになる
昆 地域の人・モノ・環境の価値の再発見という理念を掲げていらっしゃいますが、価値はどうやって見つけるのですか。
伊藤 価値を見つけるために、06年からNPO法人「あるものさがしの会」を地域の人たちと立ち上げて、「伊豆沼しゃべり場倶楽部」というのを始めました。月に1回、今月で54回になります。宮城県登米市は9町が合併した市ですが、同じ中学校に通うくらいの小さな村単位で開催しています。
昆 それはどんな内容ですか。
伊藤 お年寄りなら昔の話、若い人なら将来の話、事業者ならその事業の話などをしてもらう、講演会ではなくて茶話会です。価値を見つけるといっても宝探しではなくて、「あるもの探し」です。ナンバーワンではなくてオンリーワンを見つける。よそにあるものだとしても、うちはここが違うというところがあればオンリーワンと言えます。
昆 どの地域にも石碑があったり開拓史の本があったりしますが、ここの風土で生きてきた人たちが伝えていくことで、自分たちが誇れる歴史を再確認するということですね。
伊藤 皆さんが話す様子を保存したDVDは、歴史の本よりも価値があるものになっていくと思います。地域のコミュニティーも希薄になってきているので交流を深めていきたいという気持ちもありますから、私の体が動く限りこの活動はずっと続けたいですね。
昆 すばらしい活動です。
伊藤 もっと言えば、住んでいる人たちが自分の住んでいる地域に魅力を感じなければ、よその人にも伝えられないんじゃないかと。
昆 おっしゃるとおりですね。
伊藤 住民の活動をとおして人・モノ・環境という地域資源の価値を見つけました。これからは、その情報を公開して、当社や他の企業が価値を活かした産業を構築し、仲間を増やしていきたいと思っています。
昆 モノとしてのコメや豚肉を売るだけではなく、生産者とつながったり、文化や風土を知ってもらったりすることで、お客様に満足していただくということですね。
伊藤 そうですね。特にそういった情報発信は東北人にとって苦手なことですが、思っていても言わなければ伝わりません。今後はマスコミなどに情報を出していくことも大切だと思います。
昆 情報を公開して誘客するということですか。
伊藤 はい。誘客産業にすれば地元にお金が落ちて、地域にもいろんな形で還元できます。また、目的地だけでなく、移動中にも経済効果は出ますので、遠ければ遠いほどその価値は増します。地方創生が叫ばれていますが、私が構想する地方創生は誘客産業をきちっとやることだと思います。地方から都会に魅力を発信して、都会の人に地方に来てもらうことが、地方の活性化につながるキーポイントになると思います。
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伊藤秀雄 イトウヒデオ
(有)伊豆沼農産
代表取締役
1957年生まれ。75年就農。88年に「農業を食業に変える」をコンセプトに伊豆沼農産を創業。宮城県産業審議会委員、宮城県輸出促進協議会会長、農商工連携伝道師(経済産業省)、宮城県農業法人協会顧問、宮城県物産振興協会理事、宮城日本香港協会理事、宮城県指導農業士登米市会長、宮城県「伝え人」、ほか多数の役職を兼務。 ■会社紹介 農業生産法人 (有)伊豆沼農産(宮城県登米市) 1988年10月創業、翌年5月に法人化。事業内容:養豚、水稲・ブルーベリーの生産、アイスクリーム・パン・惣菜製造、ハム・ソーセージ加工、直売所・レストラン運営など。URL: http://www.izunuma.co.jp
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