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第1回 国際食料・農業政策アカデミックカンファレンス

世界のジャポニカ米と日本産米の競争力

セッション3
世界のジャポニカ米の政策と流通
(3)韓国コメ経済の構造的変化と挑戦
(韓国・高麗大学教授 Doo Bongハン氏)

韓国においてコメは重要な主要作物であり、農業所得源でもある。
現在までに、韓国のコメ経済はいろいろな構造的変化にさらされてきた。1995年のウルグアイラウンド農業協定以降、20年間の猶予期間を経て、韓国政府はコメの関税化を行ない、市場を開放した。市民の所得増や食の多様化に伴いコメの消費量が大きく減少しているなかで、このような措置を実施したため、大きな影響を与えている。
ミニマムマーケット(以下、MA)米の輸入は95年に開始して以降、年々増加している。その影響を受けて、韓国政府の在庫米が劇的に増加し、4兆8700億tにまで膨れ上がっている。この数字にも関税化の影響が色濃く表れている。
さらに、関税化が実施された後、調査したのは韓国産米と輸入した外国産米とのマーケティングの可能性である。韓国の消費者がどちらの米を好むのかという嗜好性、いろいろな評価、フードマイレージ、そして原産国をどのように表示していくか。調査した結果を述べたい。

●韓国の構造的変化
図表1に韓国における水稲の収量・作付面積・生産量の推移を示した。00年以降の13年間、収量は変化していないが、作付面積は20%近く減少し、生産量も20%も減少した。90年の生産量589万8000tに比べると13年までの減少率は3割を超える。
市場開放に伴うMA米の輸入量を図表2に示した。95年から04年までに輸入したコメは加工用のみに使われていたため、あまり市場に影響を与えることはなかった。
しかし、04年の農業協定を見直す交渉で食用のコメを輸入するよう求められ、05年から食用米の輸入が始まると、総輸入量の10%程度だった食用米は30%を占めるまでになる。総輸入量も95年の5万1000tから14年には40万8700tへと増加した。
輸入米が韓国のコメ経済に大きな影響を与えるということを誰も理解していなかったために食用米の輸入にも踏み切ったわけだが、我われはあと20年が経過すれば全消費量の40%がMA米になるのではないかという懸念を抱いている。
輸入米は韓国で働いている外国人労働者や農村部の工場で働いている人などがオンラインで購入することが多いようだ。購入者の多くは輸入米と国産米に質の差を感じていない。輸入米のほとんどは米国産が占め、中国産は1等級のものが部分的に販売されている。また、タイからも一定額の輸入がある。
輸入した食用米の価格は韓国産の国内価格とどう違うのか。図表3に米国産米(1等級)、中国産米(1等級)の落札価格と韓国米の国内価格をグラフに示した。徐々に国内価格と輸入米、特に米国産米との価格差が徐々に縮まってきていることがわかる。中国産米は価格のわりには魅力が小さいとも言えるだろう。

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