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叶芳和が訪ねる「新世代の挑戦」

土壌科学で製品差別化に成功し価格維持 ㈲シモタ農芸(茨城県取手市)

農家は減る一途、そういう中で、地域の農業を維持・発展させる動きがビジネス側から出てきた。借地による規模拡大も容易になった。新しいビジネスモデルが農業の近代化を推進し始めた。商系も農家も2代目社長が新しい農業の創造に動いている。発想を変えれば、農家数の減少は新しいビジネスチャンスだ。新世代の挑戦―親父世代とは農業の経営環境は様変わりした。新世代は何を考え、どう行動しているか。(評論家叶芳和)
硝酸態窒素ゼロの野菜を目指す

 茨城県のハーブ生産者・霜多増雄氏(1945年生)は、科学する精神が凄い。土壌の科学を徹底追及し、野菜本来の機能性成分を持ち、他方、人間の健康に有害な硝酸態窒素ゼロ(正しくはND)の野菜を供給することで成功を収めている。そして何より霜多氏は、インスピレーション能力が発達している。この能力が科学と現場を結びつけるカギとなり、経営を成功に導いている。

 霜多氏は高卒後就農したが、水稲、中国野菜を経て、25年前からハーブを始めた。現在は、生産部門の農業生産法人(有)シモタ農芸と、販売部門の(株)M&Yシモタファームを経営している。作物はハーブが中心だが、前出のように、野菜も生産している。売上高推定5億円。経営面積はハウス4・5ha、露地1ha、合計5・5haである。従業員40人。社員の賃金は、30代半ばまでは、地元の銀行に勤務する銀行員と同水準であるそうだ。

 初対面は商売気がなく、とっつき難いような印象を与える霜多氏だが、付き合いが深まれば強い信頼関係が築けるようなパーソナリティの持ち主だ。社長は孤独な仕事だといい、同士・仲間を求める人間的な側面もあわせ持っている。

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