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イベントレポート

日・米・独 オオカミシンポ2015 復活と保護

オオカミの復活を推進する(一社)日本オオカミ協会は、6月3~8日に全国6カ所でシンポジウムを開催した。我が国ではオオカミは100年前に絶滅したとされ、オオカミに関する正しい情報が行き届かなくなっている。その一方で、天敵不在の生態系ではシカやサルの個体数は増え、農業をはじめとする人間の生活・産業領域を侵す事例も後を絶たない。一度絶滅した地域に新たにオオカミを放すことを再導入と呼ぶ。
講師に、米国でオオカミの再導入を成功させたデイビド・ミッチ氏(IUCNオオカミ専門家会議代表)、オオカミの帰還を歓迎しているドイツからマーカス・バーテン氏(ドイツ自然・生物多様性保護連合・政策担当幹事)を招き、オオカミ協会の丸山直樹氏がコーディネーターをつとめた。

鹿の個体数減に効果あり!?

デイビド・ミッチ氏は、かつてオオカミを駆逐しようとした米国で、再導入を試みたイエローストーン国立公園での事例を紹介した。1995~96年に放したオオカミは順調に個体数を伸ばした。同時に、当初1万5000~6000頭が生息していた周辺域のエルク鹿は、4000~5000頭にまで個体数を減らした。研究者らはオオカミがエルク鹿減少の要因であるとは結論づけていないが、時間をかけて議論を続けている。
米国人にも「オオカミは危険だ」と再導入に際して反対する者は多くいた。しかし、オオカミによって殺された家畜はミネソタ州で約0.1%、米国全土でオオカミに襲われて亡くなった人はいないという。

ドイツでも群れを確認

一方、ヨーロッパでは、80年頃に中央ヨーロッパからオオカミが姿を消したが、その後、ベルリン協定やEUの保護されるべき動物種にオオカミが指定されたことを受けて、オオカミの生育圏を確保する運動が広がった。マーカス・バーテン氏によれば、00年にドイツでオオカミの群れが見つかり、現在は35の群れが確認されている。

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