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小規模だからできること
ところで日本の農業は圧倒的多数の小規模農家によって担われている。大規模化推進の声は高いが、中山間地で実現するのは難しい。
「小規模だからこそできることがあります。中山間地は有機栽培に適している。何より自然の生態系がつくりやすい。ところが、このメリットを活かしきれてないのが現状です」
山下さんは高知県本山町で営農している。2006年に創設された「有機のがっこう・土佐自然塾」の塾長として後進の育成にも取り組んでいる。土佐自然塾は、これまでに約120名の卒業生を送り出した。このうち就農者は7割。経営が順調なのはごくわずかしかいないという。
「技術というより、むしろ勤勉さが足りないと思います。基本は体で覚えること。そこから感性も鍛えられます。数字に置き換えられるものではありません。無茶です」
新規就農希望者の多くは、有機栽培をしたいと思っている。理想を抱いて就農までこぎつけたとしても、現実の壁は大きい。売れないことには継続できないからだ。
米国では、すでに有機作物が大手流通に乗っている。有機農園自体も大規模化した。対して日本では、JASの有機認証さえ、利用度は低い。認証条件を満たしていても、費用を考えると登録に尻込みしてしまう。制度を再考すべきときだろう。
現在、日本国内の有機野菜流通量は慣行野菜のわずか1%ほど。注目度は高くても、それほど需要は伸びていない。ここをどうやってクリアしていくか。ひとつのヒントを与えられたセミナーだった。 (八木誠一)
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