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特集

消費構造の変化に伴う 宅配ビジネスのいま

農家から直接農産物を購入する。一昔前は物珍しかったものが、情報化社会の進展とインターネットの普及で一般化した。その一方で、人口構造や世帯構成が変わり、かつて使用されていた10kgや20kgの段ボール箱は小さいところで3kg箱にまでなるように、注文量が減っている。贈答用として利用していた高齢層のリタイアによってはそうした宅配での注文自体がなくなるということもある。岐路に差しかかっている宅配ビジネスのいまを追った。 (取材・まとめ/窪田新之助、平井ゆか、永井佳史)

狭き門の宅配ビジネス、
販路の多角化などが必要か

とある米どころを訪ねた。この農家は栽培技術にこだわりを持ち、かつて600軒もの個人客を抱えていた。当時の経営者は他界して十数年が経ち、代替わりしてその息子が後継していた。現在の個人客は150軒程度だという。管理作業の手間から作付面積もだいぶ減らしたそうだ。
「コメを購入していたのは親世代ですよね。その子どもたちが独立してみんな私のコメを買ってくれるようになると軒数は増えるわけですけど、そうはなりませんね。自然減でいまの数です。若い人はコメを食べなくなりましたね。注文単位も小さくなっています。一月の注文量でいうと、単身者が3kg、4人家族でも10 kgですね」
冒頭から暗い話をしてしまったが、現在の人口構造や世帯構成と消費の関係を端的に示している。
本誌でよく取り上げる国民1人当たりの栄養摂取量(図1)を見てもそれは明らかだ。以前に比べ日本人は食べなくなった。そのうえ、人口は減少の一途をたどっている。今後の中心となる若い世代は、果実類(図2)や野菜類(図3)の摂取量に関するデータからしても心もとない。果実類はとくに高齢者より摂取量が少ない。

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