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トウモロコシのはなし

分類と栽培・輸入の歴史


粒質区分は、子実のデンプン構成の違いによる分類であるため、使用用途を考える場合にもわかりやすい。この連載では粒質区分をベースに説明を進めたい。
粒質区分による主な種類は、表1の通りである。このうち日本で栽培しているのは食用のスイートコーンが主で、作付面積は約2万4400ha、総収穫量約23万6800t(970kg/10a)となっている。
このほか食用としてはフリントコーン(品種:甲州とうもろこし、札幌八行など)、ワキシーコーン(品種:黒もちとうもろこし、白もちとうもろこしなど)も全国各地でわずかに生産が行なわれているが、統計データとしては実数が出ていない。
また、家畜飼料のサイレージ(牧草や青刈り作物を破砕し、サイロなどで乳酸発酵させたもの)用として、デントコーンが養牛農家によって栽培されている。この作付面積は9万1900ha、青刈りの状態で総収穫量が482万5000t(5250kg/10a)。生産上位の地域は酪農・肉用牛の主産地でもある。
このほか、サイレージ以外で使用されるデントコーン(工業用、コーンスターチ用など)、ポップコーン、フラワーコーンは国内ではほとんど生産されておらず、ほぼ100%輸入に頼っている。

日本における栽培・輸入の歴史

諸説あるが、日本にトウモロコシが入ってきたのは16世紀、ポルトガル人が長崎・出島に持ち込んだものが最初とされている。このとき持ち込まれたのはフリントコーンで、当初は主に子実用(食用、飼料用)として生産が行なわれた。その後、19世紀に米国から北海道へデントコーン、スイートコーンが導入されるまでは、このフリントコーンが食用、飼料用の主流となっていた。
フリントコーンからスイートコーン、デントコーンへと国内での作付けが転換する一方で、1975年ごろからは輸入トウモロコシが大量に国内に入ってくるようになった。これは戦後復興に伴う生活水準の向上、食肉需要の増加によるところが大きい。
この時期、国内での食肉増産のため、国が畜産振興策を打ち出したこともあり、国産飼料の供給がひっ迫し、そこに手を差し伸べたのが豊富なトウモロコシ(デントコーン)在庫を持つ米国だったのである。国産よりも量が潤沢で安価であることから70年代以降あっという間に輸入量が急増し、国内では急速に子実用トウモロコシ(フリントコーン、デントコーン)を栽培する農家が減少、消滅していった。

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