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江刺の稲

お米と「おかず」のジャポニズム

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第232回 2015年09月04日

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「和食」というと寿司だ、天ぷらだ、懐石料理だなどと言うが、僕は和食の本質は「ご飯とおかず」だと思う。そばもうどんも好きではあるが、やはりお米が一番。お米のためのおかずなのである。日本人はお米をおいしく食べるためにおかずの工夫をしてきた。
かなり僕の偏見に左右された意見かもしれないが、ご飯とおかずの取り合わせにこだわる食文化のことを「ジャポニズム」と呼びたい。日本の農産物を世界に広めていくのに、このジャポニズムを外国人に伝えていくというのはどうであろうか。
2020年までに農産物の海外輸出を1兆円まで増やすと農水省は言っている。また、東京オリンピックの選手村で使う農産物に向けて有機農産物でまとめようとか、JGAPだEUROGAPだなどと場所取りを騒ぐ人々もいる。でも肝心なことは、原料としての「国産農産物」の価値を主張することではなく、まずは海外の人々に「ご飯」と「おかず」という日本的な「食」のスタイルを伝えて初めて、この価値が理解されていくのである。
そもそも我々はコメを食べているのではなく「ご飯」を、ホウレンソウではなく「お浸し」や「ホウレンソウと豚肉の水炊き」、ナスではなく「煮浸し」や「はさみ揚げ」、豚肉ではなく「豚カツ」を食べているのである。どれも出し汁や薬味や醤油とともにご飯のうまさを引き立てる。豚カツも元をただせば西洋のカツレツであろうが、日本では繊細に刻まれたキャベツがセットになっており、豚カツ屋のご飯は概してうまい。それと比べて中華料理店や焼肉屋のお米にがっかりしたことはないだろうか。そこでは、おかずがご飯に勝っている。発祥は西洋であっても豚カツ屋には「ジャポニズム」があるのだ。さらに、お米好きの人であればワサビ醤油がいかにご飯のうまさを引き立てるかを知っている。刺身はワサビ醤油があってこそ、ご飯がうまい。

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