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【岡本信一の科学する農業】
現状と目標は数値でつかめ
- (有)アグゼス 代表取締役社長 岡本信一
- 第46回 2015年09月04日
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耕起や有機物投入は土壌を栽培に適した状態に変化させるためであるという認識をまず持ちたい。そして、農業が経済行為である限り、これらの工程は、経済的に見合う必要がある。その観点から考えると、最小限の努力で最大の効果を得ることが目標となる。これは言い換えれば、できる限り何もしないほうがよいということになる。
次ページのグラフ(図1・2)を見ていただきたい。これは、しばらく放置されていた圃場を耕起して栽培を行なったときの土壌硬度のデータである。縦軸が深さ、横軸は硬度であり、数値が高くなればなるほど硬いことを示す。土壌硬度の測定時期は、耕起前、植え付け時(耕起後)、収穫時である。
まず図1。耕起前は、どの深さでもおおよそ1~1.5MPaの範囲に収まっている(MPaはメガパスカル)。これは、一般的な作物にとって若干の抵抗はあるものの十分に根を伸長させることが可能な硬さだ。
次に植え付け時を見ていただきたい。15~20cmの深さまでは非常に軟らかく、それより下層で急激に硬度を増している。これはロータリー耕を過度に行なった場合の典型的な曲線である。ロータリー刃に掻かれた表層は非常に軟らかくなる一方、その下は刃に叩かれて硬い層(いわゆる耕盤)ができ、さらにその下の土壌をも固めてしまっている。これは、適正な土壌硬度という観点から見ると、耕起前よりも悪化している。
土壌硬度をグラフ化すれば耕起の効果を比較できる
次ページのグラフ(図1・2)を見ていただきたい。これは、しばらく放置されていた圃場を耕起して栽培を行なったときの土壌硬度のデータである。縦軸が深さ、横軸は硬度であり、数値が高くなればなるほど硬いことを示す。土壌硬度の測定時期は、耕起前、植え付け時(耕起後)、収穫時である。
まず図1。耕起前は、どの深さでもおおよそ1~1.5MPaの範囲に収まっている(MPaはメガパスカル)。これは、一般的な作物にとって若干の抵抗はあるものの十分に根を伸長させることが可能な硬さだ。
次に植え付け時を見ていただきたい。15~20cmの深さまでは非常に軟らかく、それより下層で急激に硬度を増している。これはロータリー耕を過度に行なった場合の典型的な曲線である。ロータリー刃に掻かれた表層は非常に軟らかくなる一方、その下は刃に叩かれて硬い層(いわゆる耕盤)ができ、さらにその下の土壌をも固めてしまっている。これは、適正な土壌硬度という観点から見ると、耕起前よりも悪化している。
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岡本信一 オカモトシンイチ
(有)アグゼス
代表取締役社長
1961年生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業後、埼玉県、 北海道の農家にて農業研修。派米農業研修生として2年間アメ リカにて農業研修。種苗メーカー勤務後、1995年 農業コンサ ルタントとして独立。 1998年(有)アグセス設立代表取締役。農業 法人、農業関連メーカー、農産物流通企業、商社などの農業生 産のコンサルタントを国内外で行っている。講習会、研修会、現地 生産指導などは多数。無駄を省いたコスト削減を行ないつつ、効率の良い農業生産を目指している。 Blog:「あなたも農業コンサルタントになれる」 http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/
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