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土門「辛」聞

1県1農協「JAしまね」に農業振興策は期待薄。貯金集めと共済重視で競争を怠ってきたツケ


その核となったのが、「ラピタ」と呼ぶスーパー部門。その歴史は古い。出雲市にも高度成長の波が押し寄せた69年、セルフ方式の店舗「出雲生活センター」を開店させたのが始まり。当時のスーパーとしては中型店以上の建坪約600坪(約2000平方m)の店舗だった。89年には、ラピタという洒落た店舗名に変え、店舗数を増やす一方で、直売所や産直100円ショップという業態にも進出。店舗の一部をファミリーマートやマツモトキヨシとフランチャイズ契約を締結している。
スーパー部門以外にも、高齢者の多い農協定番の葬祭場はもちろんのこと、出雲大社のお膝元だけに結婚式場の経営にも進出。全農の経営管理委員を招いての合併記念式典は、県庁所在地の松江市ではなく、旧JAいずも直営の結婚式場で開かれた。農業より非農家を相手にした旧JAいずもらしいのは、発足を祝う特売セールが、肥料や農薬などの生産資材ではなかったことだ。そのラピタ店舗で扱われる食料品、衣料、日用品、電機製品など一般客に向けた商品ばかり。さらに「ワシントン州産 今が旬」と銘打ったアメリカン・チェリーの特売。これで農業を守れというのだから、開いた口が塞がらない。
いまは地区本部になった11農協時代の決算をまとめると、旧JAいずもは、11農協の事業総利益(営業利益)の29%もあった。島根県ではダントツの決算内容だ。ラピタの利益は、経済事業の中でも購買と呼ぶ事業部門で括られる。その購買事業総利益は、島根県全体の49%を占める。ちなみに信用事業の事業総利益は、26%だった(いずれも2013年度)。まさに旧JAいずもの一人勝ちのような島根県の農協事情である。
ところが地元では、どうやら評判はよろしくない。農協という看板を掲げて農業とは縁遠い事業分野に次々と乗り出しているので、競合相手からのやっかみという見方もあるが、普段は滅多に農協を批判しない地元紙までが、農協という看板を掲げて地元の商圏を脅かす旧JAいずもの経営スタイルを批判。それがJAしまねの発足で全県に拡がることに釘を刺した形だ。
「非農家が7割近くを占める。金融や共済事業では銀行や生損保と競合していることから、全国的に非農家組合員に対する金融、共済事業の利用制限を求める声も出ている」(15年3月2日付け山陰中央新報)
そのJAしまね誕生の立役者は、旧JAいずもの組合長や会長を務め、島根県農協中央会の会長職にある萬代宣雄氏。新しく発足したJAしまねで、初代の組合長に就いた。そのキャラは、協同組合人というよりは、農協を活躍舞台にした地元政商に近い。

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