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特集

消費から見た日本農業の可能性


「ブレンドは長年米屋が培ってきた技術のひとつです。混ぜることで、個性的でおいしいお米にできる。当社は、お米の価値観を変えることを目指しています。ブレンドもその一環ですね」

【儀兵衛のコメのブランド化】

儀兵衛の売り上げの約8割はネット販売が占める。なかでもギフト用は増え続けてきた。残りの1割ずつが卸と飲食店といった構成比。
卸としてはANA国際便の機内食としても採用されている。飲食店のほうは京都祇園と東京銀座で展開する「米料亭」を指す。こちらも雑誌やテレビに取り上げられ、人気店となった。とはいえ、位置づけとしてはアンテナショップだという。
図1を見てほしい。儀兵衛のWEBサイトから転載させてもらった。今年産イチオシ特別栽培米の食味をチャート化したものだが、気の利いた米屋ならこの程度のことはしているだろう。ただ、このチャートには全国的にはまだあまり知られていない銘柄も載っている。
「コメのおいしさは、産地や品種だけでは決められない。同じ産地や品種でも生産者によって違う。年によっても違う。そこを見極め選択して仕入れています」
仕入れに際しては、独自の官能検査をする。理化学的な機械検査結果にはこだわらず、自ら食べて確かめる。
最近では、儀兵衛主体で2013年から始めた「お米番付」(応募米の食味コンテスト、今年の開催は11月)に入選したコメも仕入れるようになった。
「高く買ってくれるとでも思ったのか、売り込みも確かにありました。でも、売り込みがきっかけで取引が続いているところは1カ所もありません。仕入れるのは、こちらの基準に合ったコメだけです」
チャートには載っていないが、佐賀県産「さがびより」も橋本氏は絶賛していた。ちなみに、近年評価が高まったとされる北海道米はまだ扱ったことがない。
特別栽培米の価格は、5kg3000円前後が多い。産地・品種だけから見れば、日本穀物協会が発表している食味ランキングの特Aとほぼ重なる。価格面でも大きな差はない。
「日用品のコメは特色を持たせるのは難しい。儀兵衛らしいよね、といわれる商品をこれからどう開発していくか。消費者に産地信仰なんてないと思います。おいしいお米を食べたいだけ。無名産地ゆえに通常相場で取引しているようなところでも、おいしいコメはあります。いまはマニュアックでも、そうしたコメを発掘し、新たな価値を見いだしていきたいですね」

企業紹介
(株)八代目儀兵衛

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