記事閲覧
【編集長インタビュー】
将来の日本農業を担う生産者とともに歩む 栽培から売り方までトータルにかかわる事業展開
- シンジェンタジャパン(株) 代表取締役社長 篠原聡明
- 2015年10月09日
- この記事をPDFで読む
篠原 そうでないと、変化に対応できませんからね。
栽培技術から売り方まで
立場を超えた取り組みを
昆 貴社の取り組みの一つとして、ジャガイモの黒あざ病に対する技術検討会を生産者に向けて開催していらっしゃいますね。
篠原 はい。研究会は今年の2月で3回目になります。黒あざ病にかかったジャガイモは、表皮の見た目が悪くなるので市場価値が下がります。その対策としてインファロー(植付時植溝内土壌散布)技術を使って、アミスター20フロアブル(以下、アミスター)という殺菌剤をポテトプランターの前後に設置したノズルから薬液を散布する方法を(株)やまびこさんと協力して、提案しています。
昆 黒あざ病はどういう条件で発生しやすいのですか?
篠原 土壌条件と低温に起因します。北海道での課題は生育期間をどれだけ確保できるかですが、秋口に寒くなるのは決まっていますから、気温が不安定な春先にいかに早いタイミングで植え付けできるかどうかが重要になります。
昆 試験場の方々はそれほど問題になっていないと話しているようですが、私はこれから時代状況が変わってくるなかでもっと早植えが必要になるのではないかと考えています。例えば、TPPの影響を受ける可能性の高い甜菜に代わってジャガイモは広がるでしょう。それも、でん粉用のジャガイモも厳しくなるので生食用や加工用に販売する量が増える。1軒当たりのジャガイモ作付面積が増えれば、早く植えざるを得なくなる。そう考えていけば、いまから低温による黒あざ病対策の準備をしておく必要があるでしょう。
篠原 じつは私どもも先を見据えて次のステップを考えています。黒あざ病対策の殺菌剤アミスターにマッチした殺虫剤を、種イモの植え付けと同じタイミングで散布する方法を開発しています。病気と害虫の初期対策を1回で済ませることで省力化をさらに進めるのが狙いです。
昆 プランターに付けたアプリケーションで土壌処理として一緒にやってしまうということですか?
篠原 はい。生産者に協力をいただいて現場で検証しているところですが、実用化を見込んでいます。薬剤の使用量をできるだけ少なくするために、いずれも必要な場所にだけスポット的に処理をして、最低限の効果を出す形でコストを含めて最適なものを提案していきたいなと。
昆 そういう風に技術が進むほど、より合理的に環境負荷の少ない形で作業ができるように、農薬メーカーと農機メーカーが共同で開発を進めることも必要になってきますね。
会員の方はここからログイン
篠原聡明 シノハラトシアキ
シンジェンタジャパン(株)
代表取締役社長
1966年生まれ。明治大学農学部卒業。90年にトモノ農薬(株)に入社し、大阪営業所の営業地区を担当。96年にノバルティスアグロジャパンに、97年にノバルティスUSAに出向(マーケティング担当)。98年に(株)トモノアグリカ本部グループ営業企画リーダー、2000年にシンジェンタジャパン(株)プロフェッショナルプロダクツ部部長、06年にシンジェンタフィリピン社長、09年にシンジェンタジャパン(株)取締役営業本部長、11年に同取締役執行役員・アグリビジネス営業本部長を経て、14年3月に同代表取締役社長及びシンジェンタ北東アジア地区総支配人に就任し、現在に至る。
編集長インタビュー
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)