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【土門「辛」聞】
農協のカルテル・入札談合体質にメス!ここ数年の独禁法抵触事案から何が見えてきたか
- 土門剛
- 第133回 2015年10月09日
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その独禁法に触れるようなことを農協組織は日常茶飯事としていると言っても言い過ぎではない。その根拠を示せということなら、2005年から10年間の公正取引委員会(公取委)の記録がある。農協と連合会は、排除措置命令や警告の処分を9件も受け、行政指導を受けている。
農協改革に連動して公取委も動いた。農協や連合会に独禁法の本格的なメスを入れるためだ。13年3月、最初の立ち入り検査に入り、15年3月に処分を終えた。カルテルや入札談合など独禁法に触れる事案を4件も確認している。
それら事案の処分を説明した報告書に目を通すと、カルテルや談合など独禁法違反は、ほぼ常態化していると言い切っても間違いはない。振り返ってみよう。
山形・庄内地区5農協カルテル事案
コメの販売手数料を合議で取り決めた山形・庄内地区5農協によるカルテル事案は、いかにも農協らしい。本来、各農協がめいめいに手数料の額や率を決めなければならないのに、5農協の担当者が集まって合議で取り決めたことが独禁法でアウトになった。農協界にはカルテル体質が染みついている。その最たるケースが、コメを集荷するとき、農家に示す概算金と呼ぶ前渡し金。これも合議で決めていた。
カルテル体質は、13年7月30日、5農協の関係先へ立ち入り検査に入ったときの農協担当者コメントに集約される。
「カルテルはありえない。何が問題なのか分からない」(同7月31日付け河北新報)
その背景には、農協や連合会に認められた「独禁法の適用除外」を誤解していることがある。農協や連合会には、独禁法が適用されないので、何をやっても許されるという横着な考え方があることだ。そうした誤った考え方が農協界に定着して、独禁法違反の事案が相次いだので、公取委は「農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針」を07年に公表している。そこで改めて「独禁法の適用除外」について公取委の指針が示された。
農協改革に連動して公取委も動いた。農協や連合会に独禁法の本格的なメスを入れるためだ。13年3月、最初の立ち入り検査に入り、15年3月に処分を終えた。カルテルや入札談合など独禁法に触れる事案を4件も確認している。
それら事案の処分を説明した報告書に目を通すと、カルテルや談合など独禁法違反は、ほぼ常態化していると言い切っても間違いはない。振り返ってみよう。
山形・庄内地区5農協カルテル事案
「独禁法適用除外」を勘違いした横着
コメの販売手数料を合議で取り決めた山形・庄内地区5農協によるカルテル事案は、いかにも農協らしい。本来、各農協がめいめいに手数料の額や率を決めなければならないのに、5農協の担当者が集まって合議で取り決めたことが独禁法でアウトになった。農協界にはカルテル体質が染みついている。その最たるケースが、コメを集荷するとき、農家に示す概算金と呼ぶ前渡し金。これも合議で決めていた。
カルテル体質は、13年7月30日、5農協の関係先へ立ち入り検査に入ったときの農協担当者コメントに集約される。
「カルテルはありえない。何が問題なのか分からない」(同7月31日付け河北新報)
たまりかねて出された公取委指針
その背景には、農協や連合会に認められた「独禁法の適用除外」を誤解していることがある。農協や連合会には、独禁法が適用されないので、何をやっても許されるという横着な考え方があることだ。そうした誤った考え方が農協界に定着して、独禁法違反の事案が相次いだので、公取委は「農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針」を07年に公表している。そこで改めて「独禁法の適用除外」について公取委の指針が示された。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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