ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門「辛」聞

農協のカルテル・入札談合体質にメス!ここ数年の独禁法抵触事案から何が見えてきたか


公取委が最初に立ち入り検査に向かったのは、発注側の農協やホクレンではなく、受注側の工事請負業者4社だった。ナラサキ産業(本社・札幌市)、北海道日立(同)、三菱電機冷熱プラント(東京都品川区)、サタケ(広島市)。
受注側から検査に入るのは、官製談合を摘発する場合の定石。ホンボシは、あくまで発注側であるという前提と、検査への協力は受注側の企業から得やすいという判断だ。とくに最近の大企業は、独禁法に対する順法精神が農協組織と比べものにならないぐらい強く、検査に協力的という期待もある。
一方の農協組織は、独禁法へのコンプライアンス意識は、いまだに希薄。その背景に、農協や連合会に認められている独禁法の適用除外を曲解していることも多分にある。
改めて整理しておこう。独禁法が、農協や連合会に適用除外を認めたのは、共同購入、共同販売等の行為だけ。農水省の見解は、こうだ。
「農協等の行為のうち、共同購入、共同販売等については、独占禁止法の適用が除外されています。ただし、『一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合』又は『不公正な取引方法を用いる場合』に該当する場合には、農協等の行為であっても独占禁止法が適用されます」
ホクレンが疑われたのは、その「不公正な取引方法」、この場合はホクレンが取り仕切った入札の談合事案だった。14年5月、工事請負業者4社に続いて、公取委は札幌市のホクレン本部に立ち入り検査に向かった。入札談合の証拠固めだった。
工事請負業者4社への立ち入り検査から1年2カ月も時間を要したのは、公取委が描いたような形で事案の解明が進まなかった証なのかもしれない。
15年1月、公取委は処分を公表した。そのなかでホクレンの果たした役割をはっきりと指摘している。
「公正取引委員会は、北海道に所在する農業協同組合等が発注する低温空調設備工事の工事業者に対し、農協等発注の特定低温空調設備工事について、独禁法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたとして、同法第7条第2項の規定に基づく排除措置命令及び同法第7条の2第1項の規定に基づく課徴金納付命令を行った。また、農協等から施主代行業務を受託していた北海道農業協同組合連合会(ホクレン)に対し、ホクレンの一部の職員の行為が上記違反行為を誘発し、助長していたものであると認められたことから、申入れ等を行った」

関連記事

powered by weblio