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銀行側からは、後から紛失したとされる小切手が出てきたら、私が2回目も支払うことになる旨の説明があった。もちろん現在まで2回目の請求はない。
海上運賃を
タダにする裏ワザ
その後、私が直接米国から農業機械を輸入していることを聞きつけた生産者が希望する数十種類に及ぶ農業関連機械・部品の輸入のお手伝いをした。お手伝い、と書いたのは販売の意図をもって商行為を行なってはいないということだ。
輸入に関して簡単な契約書を交わすことになり、前払い、輸入商品の傷やへこみ、色落ち、部品の欠如なども依頼者の責任とする。
極端な場合、コンテナを開けてみたらカラっぽだったとしても私は知りませんからという契約書だ。使用しなくなった輸入機械の最終処分もお願いしますという契約も交わす。
こんな契約書を交わして米国から農業機械の輸入依頼をする人がいるかって? それがいるのです。理由は価格が一番で、次は私に対する30年間の信頼度でしょう。
希望する機械や施設の仕様が決まると価格が決まる。その価格は現地の米国人が購入する価格と同じだ。とくにジョンディア・ブランドの場合はネットに価格が表示されていることを多くの購入希望者も知っているので、「いくらですか?」と価格交渉をする必要がない。
それで利益は出るのかって? 出ませんが、損もしません。
仕組みはこうだ。機械などの値段が決まり、海上運賃、通関業者への経費、保険などは購入者に支払っていただくので、私の手出しはない。
手数料として作業機程度だったら5万円(今年まで)。これで米国文化が手に入るのだから、こんないい話はないだろう。
本当の私の利益は20フィートや40フィートコンテナの空いているスペースを使わせていただくことだ。なんだかんだで毎年自分の農場で100万円くらいのパーツを購入するので、海上運賃をタダにできるメリットは大きい。もしこのパーツを航空便で運ぶとパーツとほぼ同額になるのだから。
不必要に利益をかさ上げしようなどと企むと、普通の並行輸入業者になってしまう。農業生産者の本分からかけ離れ、生産という大切な行動を忘れてしまうからだ。
ただパーツ関係は、通関業者に提出する複雑怪奇を通り越した奇奇怪怪な書類があるので20%の手数料を請求する。
たったの20%ですよ。現地で$1の価格で販売しているボルトが、日本では「特殊だから」と1000円で平気で売っているんですから。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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