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イベントレポート

監修の渡辺和彦・元東京農大客員教授が講演『人を健康にする施肥』出版記念シンポジウム

「硝酸イオン=悪」は誤解

『人を健康にする施肥』(農山漁村文化協会刊)の出版記念シンポジウムが9月11日、都内で開かれ、監修した元東京農業大学客員教授の渡辺和彦氏(農学博士)が基調講演した。
同書は、国際植物栄養協会(IPNI)と国際肥料協会(IFA)が編集した原著の翻訳版。書名のとおり、肥料がいかに人間の健康に貢献できるかについて、世界の文献を基に論考している。日本語のほか、アラビア語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語でも出版された。
講演で渡辺氏は、章の順番に沿って話を進めていった。
第一章は「食料安全保障を支える肥料の役割」。1961年から2008年までの間に世界人口が31億人から68億人に増えた理由として、肥料の消費が3000万tから1億5000万tに増えたことを紹介した。
第二章は「微量栄養素の欠乏による栄養失調症」。海藻を食用や飼料、肥料に用いる沿岸地域では、海水起源のヨウ素を食料を通じて摂取する機会が多く、ヨウ素欠乏の発症例は少ないと話した。
第三章は「微量元素による作物の栄養価改善への展望」。日本ではほぼ全国的に亜鉛が欠乏している実態を紹介した。
第四章は「微量元素による作物の農学的栄養強化」。小麦が含む亜鉛の量を増やすには乳酸期の葉面散布が有効であると指摘。加えて尿素とともに施用することで効果が高まると説明した。
第五章は「食物中のカルシウム、マグネシウム、カリウム」。なかでも、カルシウムの有効な摂取方法として、牛乳よりもアブラナ科のほうが人体に吸収されやすいと指摘。各食品について100g当たりのカルシウムの吸収量を見ると、牛乳が0.401に対して、菜花は1.113、カラシナは1.003となっている。

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