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特集

乾燥野菜の進化形 チャンスをとらえるヒント集


見えてきた】

これまで乾燥野菜は、保存のきく普通の食品だった。簡単、便利、手間要らず、そして場合によっては栄養価の高さ、おいしさ。伝統的な乾物のように、家庭の常備化が進めば、マーケットは拡大することになる。ただ、売り手の思惑どおりには必ずしも進んでいない。それは、販売高が全体としてはそれほど上がっていないことを見ればわかる。
いま述べたような乾燥食品のメリットは、メーカーをはじめとして当然アピールされてきた。そこに新たな訴求方法が偶然をきっかけとしてもたらされる。11年に起きた東日本大震災だった。この震災を機に、乾燥野菜は非常食としての価値が見直されたのだ。今回の取材でも、多くの乾燥食品メーカーが、震災をきっかけに需要が大きく伸びたことを指摘していた。
天野実業の調査によると、避難生活が続くとみそ汁などの温かい汁ものが求められるのだという。当時、長引く避難生活のなかで野菜不足が問題となった。全国的に物流が機能しなくなったため、被災地に限らず身をもって体験した人も多いだろう。天野実業では、このニーズを受け賞味期限5年の商品も開発している。
被災者用ばかりではない。乾燥野菜は災害時の備えとして必要なものと考えられるようになったのだ。地震以外に大型台風もある。台風で野菜が不作になり、一時的な生鮮野菜の高騰が増えてきた。需要の伸びにはその影響も考えられると指摘したのは吉良食品だった。台風の通り道となりやすい九州のメーカーならではの思いかもしれない。
非常食以外にも、乾燥野菜の用途は拡がってきている。とくにパウダーでその傾向が強い。たとえば着色料。麺類や菓子への練りこみだ。背景にはナチュラル志向がある。合成着色料と違い、安心感も高い。飲食店の独自メニューとして、あるいはご当地食品としても需要が高まってきた。
飲み込みやすさ・滑らかさを強調して、離乳食や高齢者用をアピールしているメーカーもある。さらにはペットフードとしても。

【農業六次化の
流れのなかで】

乾燥野菜ニーズと国産ニーズが高まるのを見ると、これはひとつのチャンスであろう。実際、農業界では六次産業化による加工品への参入が増えるにつれ、規格外の野菜や、直売しきれない野菜を乾燥野菜として製造・販売しようという動きも目立つ。
08年、農商工等連携促進法(中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律)、続く10年には六次産業化法(地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律)が成立に至った。

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