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江刺の稲

TPP大筋合意を経営革新のチャンスとせよ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第234回 2015年11月06日

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ついにTPP交渉が大筋合意した。この後、国会での批准がなされて正式に成立するわけだが、我が国だけでなく米国でも民主党次期大統領候補として最有力と言われるクリントン氏が反対の意向を示していることなどから、まだ結論は出ていない。もっとも、日米両国ともそれは政治家たちのパフォーマンスに過ぎず、批准はほぼ間違いないだろう。
TPPは日本の国民や産業にとって越えねばならない課題を与えるとともに大きな可能性をもたらす。農業団体関係者がまき散らした「農業が犠牲になる」という議論も、やがて農業経営者たちの努力によってその誤解が正されていくだろう。
もとより我が国が輸入する工業産品にはほとんど関税がかかっていない。我が国は工業製品に関しては先進国のなかでも最も輸入関税率の低い国である。それに対して、農産品に関してはこれまでおよそ先進国とは思えない高関税を付け、農業に対しても農家、農村が貧しい途上国のような政策をとってきた。そしてそれに過大な財政負担がかかっているというだけでなく、農業あるいは農業経営者の健全な経営センスの成長を阻む作用を果たしてきたのだ。
いま明らかになりつつある交渉結果を見れば品目によって不満を持つ人もいるだろう。しかし、野菜類はもとより関税が低く、さらに輸入の多いアスパラガスやブロッコリーなどで影響を受けるなどと言われているが、そもそもアスパラやブロッコリーは輸入が増えたからこそ市場ができ国内生産が増えた作物である。

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