ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

トウモロコシのはなし

世界の生産事情とGM品種の普及


日本に輸入されるトウモロコシは、貿易統計では厳密にGMOと非遺伝子組換え(Non-GMO)が分類されていない。そのため、それぞれの輸入割合は推計するしかない。コーンスターチ業界関係者の推計では、Non-GMトウモロコシの輸入量は年間150万tほどとみられている。14年のトウモロコシ輸入総量は約1500万tであるから、Non-GMトウモロコシはわずか1割程度ということになる。私たちは知らず知らずのうちに、GMトウモロコシからつくられた商品(スナック菓子、発泡酒など)を口にしていると推測できる。

世界的に珍しくなった
Non-GMOへのこだわり

08年に米国のGMトウモロコシのシェアが80%を超えたことを受けて、それまで原料としてNon-GMトウモロコシを用いてきた我が国の食品関連業者の多くが、原料をGMトウモロコシに切り替える苦渋の決断をした。コスト面だけでなく、単純に作付面積の減少によってNon-GMトウモロコシの調達が困難になると見込んだためだ。もちろん、いまでもNon-GMトウモロコシを日本で最も多く輸入していると言われている全農グレインと組んで、必死にNon-GMトウモロコシを調達している会社もある。しかし、GM品種のシェアが90%を超えてまだ伸び続ける現状をみると、Non-GMトウモロコシを安定的に確保しづらくなることは想像に難くない。
日本ほど必死にNon-GMトウモロコシの確保に努めている国は珍しい。以前はEU諸国も頑なにGMOを拒んでいたが、05年から承認、生産が始まった。そんな情勢の変化により、Non-GMトウモロコシの生産者にとって日本は、より重要な固定客になりつつある。米国には“ジャパン・プレミアム”と呼ばれる約10%の上乗せ価格を狙って、日本向けのNon-GMトウモロコシに絞って生産する農家も出てきた。Non-GMOはGMOに比べて収量が低く、GMトウモロコシとコンタミネーション(混雑)しないための流通、品質管理などを徹底して行なう必要もある。コスト高になるが、それを差し引いても利益は大きいという。
言わずもがなだが、日本では国内でのGMOの商用栽培を承認していない。つまり、栽培するトウモロコシはもれなくNon-GMOということになる。単にGMOを多く含む輸入トウモロコシの代替ではなく、国内ニーズの高いNon-GMトウモロコシを安定的に生産し、流通させるということを念頭に置くと、少し違った国産トウモロコシの生産・流通展望が見えてくるのではないか。

関連記事

powered by weblio