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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

伝統的な保存食から生まれた5色の「押大豆シリアル」

岡山県津山市で穀粉製造業を営む(株)半鐘屋は今年2月、地元産の5色の大豆を使用したシリアル「押大豆シリアル」を発売した。それぞれの品種の風味を活かし、現代の食生活や女性の好みにマッチさせたことによって、市場から高い評価を受けている。加工業者の技術と商品開発力、生産者の大豆生産にかける思いが信頼関係を育み、この商品を支えている。 文/平井ゆか

押し大豆の衰退と
シリアルの台頭

押し大豆は打ち豆とも呼ばれ、保存食として昔から親しまれてきた食材である。大豆を水に浸し、たたいて平らにつぶしてから乾燥させたもので、一般的に流通しているものは製造過程で熱を通していない。さっと洗うだけで浸水時間が要らず、火が通りやすいのが特徴で、加熱調理して食べる。
この伝統的な食材をシリアルにしたのが(株)半鐘屋だ。半鐘屋の押し大豆は熱を加えてから乾燥しているため、加熱調理せずにそのまま食べることができる。
シリアルが西洋スタイルの朝食としてひとつの市場を築いてから久しく、市場はすでに激戦状態にある。「押大豆シリアル」は今年2月、大豆タンパクや大豆イソフラボンを摂取できる健康食品としてその市場に投入された。
新商品の原料は選ばれた5品種の大豆のみ。塩さえ加えないため、大豆の風味が商品の食味に大きく影響する。最大の魅力である5色のカラフルな色合いは大豆の品種そのものの特徴である。しかし、生産量が少なく、収量性の低い品種ばかりで、生産者の努力と協力が欠かせない。
課題満載とも思える条件の下、この商品がどう生み出されてきたのか。加工業者と大豆生産者、それぞれの声を聞いた。
半鐘屋の創業は1895年。豆腐屋として創業したが、戦争を機に、業務用の米粉やきな粉、小麦粉などを大量生産・大量流通させる穀粉製造の業態に変更し、岡山県津山市で商売してきた。 
ビジネスの転機は危機によって訪れた。砂糖などを混ぜた米粉加工品の輸入品が増えてくると、国産の原料を使用してきた半鐘屋の取扱量は減ってしまったのだ。そこで1983年に個人向け商品の通信販売を始め、発酵ハトムギなどの健康食品の取り扱いも本格化させた。今回紹介する、押大豆シリアルもそのひとつである。

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