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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

伝統的な保存食から生まれた5色の「押大豆シリアル」


すぐに市場から反響があった。顧客からは、大豆の味がしっかりしていておいしい、調理する必要もないので手軽だという声が聞かれた。「岡山県産」という産地表示も功を奏した。常々、産地を知りたいという来店客の声を聞いてきた小売店にとってはありがたい商品なのだ。いまでは大手流通からもいくつか引き合いがある。
創業当時、社名の候補は「繁盛屋」だったが、繁盛しても高慢にならないように警鐘を鳴らすという意味で「半鐘屋」にしたという。岡田氏はその手堅い姿勢を引き継いでいる。何よりこれまで培ってきた「半鐘屋なら間違いない」という顧客の信頼を裏切らないようにしたいという思いで経営してきた。だからこそ、大量受注を控え、少しずつ着実に進めていくつもりだ。大豆の生産量や工場の製造量を急に増やすことができないという事情もあるが、急に製造量を増やしても良いことはないと岡田氏は悟っている。
「個人のお客様はリピーターが非常に多いです。商品には自信がありますので、どっと売れて一過性のブームで終わるよりかは、口コミなどで徐々に広がっていってほしいですね」

大粒のタマホマレ
生産者が重ねる試行錯誤

津山市の土井盛夫氏は半鐘屋の契約生産者である。土井氏の農場は水稲20ha、小麦と大豆10haで、タマホマレはそのうちの3haに作付けしている。半鐘屋には、もともときな粉用としてタマホマレを納めていたが、昨年、さらにタマホマレを使った「押大豆シリアル」を開発するという話を聞き、「黄大豆」の原料としてもタマホマレを納めることになった。
土井氏の農場のタマホマレは全量、半鐘屋との契約栽培である。もともと大粒黒大豆の産地である津山市で、白大豆(商品名では黄大豆)、しかもタマホマレを生産することは、経営上あまり得策ではないと言われている。さらに台風が来ると日本三大悪風のひとつ「広戸風」の被害も受ける。そのなかでわざわざ収量が多い品種でもないタマホマレを生産している土井氏は、自ら「変わり者ですよ」と話す。
地力も大豆に適しているわけではなく、タマホマレの平均収量は15 0~200kg/10aだという。
「反収300~400kgという地域もありますから、それと比べると少ないですよね」
そう言いながらも土井氏からはやるべきことはやっているという自負が感じられる。
土井氏が取り組んでいるのは、タマホマレ本来の粒の大きさを保つことによって、結果的に収量を上げるという方法だ。半鐘屋からの「なるべく農薬を減らしてほしい」という要望にも、状況を見ながらできる限り応えている。

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