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特集

農産物「規格」を考え直す いまこそ民主導への転換を!



【全米小麦アソーシエイツによる
充実の海外向けサービス】

全米小麦アソーシエイツが提供する海外向けサービスは大きく5項目に分かれる。「取引サービス」「技術的サポート」「マーケット情報と分析」「収穫と品質レポート」「顧客プロモーション」だ。
「取引サービス」は生産者団体が直接、海外のバイヤーからの購入や使用に関する問い合わせに対応するものだ。活動内容は、単なる顧客訪問や商談にとどまらない。顧客の国へのコンサル派遣やセミナー、研修プログラムの実施が含まれる。「技術サポート」は、米国の小麦6種別・ミックス小麦規格に基づく、製粉、貯蔵、取り扱い、最終製品の各産業に対して、個別のコンサル実施である。例を挙げれば、パン品質の比較的低い韓国に対して製パン業者を集めてのワークショップの開催、製粉自体の技術的成熟度の低いアフリカ諸国に向けては製粉の基礎から応用までの教育プログラムを提供する。「マーケット情報と分析」「収穫と品質レポート」は、播種から収穫までの各産地の状況や品質予想を海外バイヤーに報告するとともに、顧客が影響を受ける可能性がある規格詳細や各国の輸入制度の変更をレポートしていく。同時に、世界の小麦情勢や将来予測についてもまとめている。日本については、GM小麦の微量混入を受け、輸入検疫を強化する政府に対して、その科学的根拠を問ったり、その継続性が日本の小麦産業へのコストアップと不確実性を向上させることの懸念を表明したりする。他国に介入しすぎと見る向きもあろうが、日本最大の小麦バイヤーは国家貿易の独占体である農水省である。あくまで大口バイヤーに対する無料コンサルの一環である。農水省だけでなく、厚労省の残留農薬基準値の設定ルールについてもアドバイスする。「米国で新たな登録を受けた栽培、貯蔵用の薬剤に対して、基準値の設定が米国や他国のより高すぎる。その結果、日本向けの小麦については既存農薬を使うことになり、他国向けに比べて生産性の低さを生み、結局、日本の消費者に対するコスト負担増と安全性確保の低下につながる」(同団体ウェブサイトから要約抜粋)との助言である。
小麦規格の話からそれていると思われるかもしれないが、違う。規格とは穀物の外形や成分だけを示しているのではない。残留農薬の基準やGM穀物の扱いまで含め、播種から消費者の口に入るところまでのシームレスな(途切れのない)取引基準まで、マーケット要求から逆算し、サプライヤーである生産者が責任を持って設定することなのだ。

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