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高橋誠 昨年収穫したトウモロコシの粉砕は、飼料用米の粉砕も請け負っている地元の製粉会社に委託した。この経験から粉砕については設備投資しなくても対応できると思う。もう一つ重要なのは運搬費用。地域内での耕畜連携だと飼料工場まで持っていく運搬費用がかからないのが魅力だった。子実トウモロコシも運搬費用がかからないやり方があるといいと思う。
昆 続いて地域のなかでトウモロコシを作る困難、生産者側の課題を聞いてみたい。
高橋章郎 トウモロコシは背丈が高いので、地域の人たちが陰で「うちの子どもが連れ込まれたらどうするんだ」と心配しているという話を聞き、自由に作付けすることはできないのかと感じる。今年は集落のなかでも隅っこの圃場を選んだ。
盛川 私がトウモロコシを作った圃場では熊が出た。すると、新たに借りた圃場の周囲の農家から言われたのは、まさかトウモロコシを作るんじゃないだろうなと。トウモロコシを作れば、熊が出る可能性があるから心配だと。
【国産Non-GMトウモロコシの価値と今後の可能性】
塚原 うちの銘柄豚を販売していくために、物語が重要だと思っている。選ばれるものになりたい。そのためには国産の餌を使いたいと考えて、6年前に飛びついたのが飼料米だった。飼料米は毎月30tを買っている。ただし、耕種農家からは交付金がなくなれば、生産し続けられるかわからないと言われている。
盛川 私が思うに、子実トウモロコシの生産が交付金ありきとなると、話はなかなかうまくいかない。国内で国産トウモロコシを欲しいという層をもっと増やすということが大事。TPPや畜産の現状も踏まえて、地域で手を組んで、そのなかで需要を起こしていくこと。地域興しに貢献する作物としてトウモロコシを作る、そこで付加価値を出せるというようにしていかないと続かないのではないか。
高橋誠 もう一つの課題は耕種農家への支払いで、餌を買うときには、秋口に一気に払わないといけなくなる。しかも、買う量が増えるほどに、その金額も、大きくなって畜産農家にとってリスクは高くなる。国産の子実トウモロコシを扱う食品業界もそう。まるで商習慣が変わるので、なんらかのファンドや資金支援が必要になってくるのではないか。
塚原 高橋さんの指摘のとおり。飼料用米の代金は耕種農家に一度に1年分を支払っている。トウモロコシをどの程度増やせるかについて、金銭面の問題があるのは事実。さらに提起したい問題は、負担をどう分けるか。耕種農家と養豚農家が施設やそれにかかる費用をどれだけ分担できるのか。分担しきれない規模になったら、合弁会社をつくることも検討しないといけないと感じている。
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