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土門「辛」聞

情報力の強化こそ農水省再建のポイント

 ここで思い浮かぶのは、農水省の役人は農政族議員にからっきし弱いということだ。この問題は、当時の組合課長らが農家の名義を無断使用して水増し申請、その申請の結果として共済掛金の国庫負担分である約115万円を補助金として不正受給していたことだった。

 しかも不正受給をしたのは1999年。これが最初にバレたのが2004年に会計検査院が実地検査に入ったことだった。会計検査院から返還措置を命じられても山形県は無視。よほど遠藤氏が怖かったのか。会計検査院は07年にも再指摘。それでも無視を続けた。一般農家の場合だったらどうなるか。説明の必要はなかろう。農水省もその事実を知っていた。いかに農水幹部が与党の農政族議員や農業団体幹部に弱いかがお分かりいただけよう。

 この問題でもう一点指摘しておきたいことがある。議員や首長が、国の補助金などを受けた団体への兼職禁止ルールについて。農水省はその必要性を認めながら放置してきた。もしルール化されていたならば、こんな大チョンボを生み出すことにはならなかったはずだ。ちなみに、いまも補助金交付先の団体に与野党の政治家が役職についている。現内閣の河村建夫官房長官は、山口県農業共済組合連合会や山口県森林組合連合会の会長職にある。森英介法務大臣も畜産関係や土地改良関係の理事を務めている。

 2番目のダブル辞任は、記憶も新たな事故米事件による太田誠一農水相と白須敏朗次官のケース。改革チーム立ち上げのきっかけとなった一大不祥事だった。舞台は、総合食料局消費流通課。旧食管時代は、食糧事務所を統括するセクションだった。報道で舞台がこの課と知って「あ~、こりゃあかん」と思った。

 本コラムで幾度となく取り上げた新潟BLコシヒカリ問題で、何回か取材して、この課の「実力度合い」を知っていたからだ。担当課長のセンスや力量の問題か、この課の組織カルチャーか、言い難いところがあるが、多分に後者とみた。

 当時の課長には、違う品種でありながら、役所の一存(もっとも八百長的手続き)で同一呼称にすれば、マーケットが混乱するだけだよと指摘しても、ご理解いただけなかったようで、その課長に「これが理解できなきければ、制度設計の任に堪えられないな」と言い放ってやったが、ここまで言ってもポッカーンだった。ちなみに八百長的手続きとは、県庁小役人がセットアップしたお手盛りの委員会で、県庁小役人の思惑を合法化することを意味する。

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