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危機はすでに足下にある。20年産で作況指数が85以下に落ちていたら、今頃、米不足で米価が暴騰を始め、緊急輸入という事態に見舞われていたはずだ。平成の大不作(作況74=著しい不良)の時には、世界中をかけめぐってコメを買い集めたが、昨今の世界的なフードパニックでは買い集める力はない。輸出に応じてくれる国がないからだ。
日本農業の生産力は確実に落ちている。高齢化の進行、長年にわたる価格低迷による意欲低下、肥料や重油に代表されるような資材費高騰、生産意欲をそぐような行政と農協組織による統制、真の担い手対策の不在などの事情があるからだ。
生産力についての現状把握や将来動向。これについて農水省は確たるデータを持っていない。現時点であるとするならば、平成17年度に策定した新たな食料・農業・農村基本計画で、10年後(平成27年度)の「あるべき姿」を示した数字だけであろう。生産力についての正確な現状把握がなければ、食料の安定供給という役割を果たすことはできない。
省の背骨を担う幹部に責任を自覚してもらうことこそが、組織を立て直す第一歩となる。
日本農業の生産力は確実に落ちている。高齢化の進行、長年にわたる価格低迷による意欲低下、肥料や重油に代表されるような資材費高騰、生産意欲をそぐような行政と農協組織による統制、真の担い手対策の不在などの事情があるからだ。
生産力についての現状把握や将来動向。これについて農水省は確たるデータを持っていない。現時点であるとするならば、平成17年度に策定した新たな食料・農業・農村基本計画で、10年後(平成27年度)の「あるべき姿」を示した数字だけであろう。生産力についての正確な現状把握がなければ、食料の安定供給という役割を果たすことはできない。
省の背骨を担う幹部に責任を自覚してもらうことこそが、組織を立て直す第一歩となる。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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