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成田重行流地域開発の戦略学

大島と緑の真珠-復興そば物語

東日本大震災で巨大な津波が東西から何度となく襲った宮城県気仙沼市の大島。なだれ込んだ大量の海水で島が分断されるほど、その破壊力はすさまじいものだった。それから半年が過ぎた2011年8月。島内のあちこちにがれきが残るなか、何かを探し歩いていた成田重行さんは見覚えのある白い花を見つけた。ソバである。その瞬間、「体中がしびれて、一瞬放心状態になった」という成田さんは、その花に何を見たのか。 文・撮影/窪田新之助
突然だが、筆者は成田さんと知り合ってからまだ3カ月である。お会いしたのは延べ日数で1週間ほど。その短い日数の間でも、成田さんにはいくつも驚かされることがあった。そのひとつは「多才さ」である。
成田さんは、中国茶の諸事において超一級であるし、筆を執らせればじつに味わいのある字や絵で表現される。そうした数多ある才能のなかで、ここで紹介しておきたいのは「ソバ」と「文章」である。
成田さんはソバにも精通している。それも栽培から麺打ちなどあらゆる面においてだ。長野県は八ヶ岳のふもとに畑を持ち、仲間たちと一緒にソバを作っている。収穫したソバを打つのはお手の物。何しろ40年以上の実績がある。その腕を伝授する「蕎麦サロン」を主宰し、これまで6000人を超える生徒を輩出してきた。そのなかには全国で名の知られる店を開いた人も少なくない。
それから文章を書くのも得意中の得意。10冊ほどの著書があるほか、かつては雑誌の編集長をしていた経歴も持っている。もちろん、ソバに関する著書も『こだわりのそば打ち入門』『男のためのそば打ち入門』(ともにNHK出版)がある。

昔食べていたソバに
「旅人」は興味を抱いた

そんな多才な人物には10に及ぶ小話を収めた『気仙沼大島 復興そば創作物語』という未発表の作品がある。時代は江戸のころ。登場する人物は前号で紹介した、大島に暮らす水上忠夫さん、俊光さん、清水洋祐さんら。それぞれに村主や悪代官などの役を当てている。
そのなかに大島を訪れた「旅人」という登場人物に焦点を当てた「ガレキの中のしろい花」がある。さわりだけ抜粋しよう。

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