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イベントレポート

農村経営研究会2015年第4回定例会

農業技術通信社が主催する農村経営研究会は2015年12月3日、都内で定例会を開催した。今回は、カルビー(株)の相談役で農村経営研究会のアドバイザーである松尾雅彦氏を迎え、農村経営の事例の検証と今後の展望を討議した。
初めに昆吉則が今年の活動を総括した。
「15年は4回の定例会と2回の視察会を開催した。各地でさまざまな農村経営の取り組みが起きている。本会会員では、放牧養豚を営んでいる福島県の降矢敏朗氏が耕作放棄地に餌用のトウモロコシを植え、圃場に豚を放して茎ごと食べさせるという取り組みを始めた。このことは地域の耕作放棄地の有効活用にもなっている」

農業国になるためには
地域内の連携がカギ

本研究会で松尾氏は、日本を農業国にしようと、地方で自給圏を構築する「スマート・テロワール」の考え方を指南してきた。その視点から具体的な事例2件についてコメントした。
一つは会員から提起された獣害である。髙木農産の髙木正美氏は岐阜県関ヶ原町で水稲を中心に営農している。中山間地にあるため、長い間イノシシやサルなどの獣害に苦しめられてきた。一昨年からは猟師に狩猟してもらったり、町に柵を設けてもらったりという対策をしている。しかし、イノシシに柵は通用せず、見回りのマンパワーが必要だ。試行錯誤するうちに、柵で防ぐよりも狩猟で数を減らすほうが効果的だということがわかってきた。当初、ペットフードの原料化やジビエ料理の原料化を考えていたが、圃場を守る対策に時間を取られ、安定供給や事業化にまでは手が回らない状況だ。また、近隣には人気の焼肉屋もあり、やはり牛や豚の肉にはかなわないのではないかと考えているという。
松尾氏からは、ジビエ料理は、ぼたん鍋のように和風の料理より、洋風の高級料理として提供し、女性が来るようなおしゃれなレストランを作るのが得策で、そういった料理ができるシェフと組むのが良いとアドバイスした。
もう一つの事例は前回の視察先で、岐阜県で「栗きんとん」を主力に菓子屋を営む(株)恵那川上屋である。近隣には老舗が多いなか、後発で始めたため、無理に都会の百貨店に売ることをやめ、まず地域の人々にターゲットを絞った。それが功を奏して、いまでは土産やクチコミを通じて逆に都会にファンができている。収穫したての新鮮なクリを加工できるように、原料の半分は地元の「恵那栗」を使用している。また、地域に誇りを持たせようと、従来のランクである一般と特選の上に「超特選」という最高級ランクを設け、それを生産する農業生産法人を設立した。

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