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もし、砂糖やでんぷんの生産においても地域や原料による違いを訴求できるような生産体制を敷いていたら、違ったかもしれません。私は今後、差別化が可能な生産体制に転換すべきであると考えています。
日本は資源のない国にもかかわらず、資源を輸入して付加価値を付けて販売して利益を上げ、世界のなかで経済国としての地位を築いてきました。いま一度、その道筋を思い起こし、農業に対しても同様な戦術の適用を真剣に考えるべきです。農業においては、国内で生産される資源であり、国内の消費者を対象にしているわけですから、机上の農業を捨て、消費の現場から生産の現場を見つめる農業に徹していけば、必ず道が開けると考えています。それどころか、農業の本流は日本のこのような進み方にこそあると私は考えています。
規模拡大に成功した米国農業がさも成功者であるように過去にいわれてきましたが、価格中心の過当競争はとどまることを知らず、日本の生産者規模よりはるかに大きいにもかかわらず、(米国内では規模が小さいとされる生産者は)多くが離農せざるを得ないのが米国農業です。最終的には巨大農業企業しか残らないのではと想像しています。そのような農業の後を追うことが、農業に希望をもたらすはずもありません。規模はそこそこであっても個性的かつ多様な農産物を生み出すような農業こそ、多くの農業者が農村部に生き残り、豊かな農村を形成していく道であると私は考えています。机の上ではなく、消費と生産の現場からしっかり戦略を見つめていけば、日本は必ず世界の農業の手本にまで成長すると信じて疑いません。
(有)TOMTEN 代表取締役
山道弘敬
1955年、北海道生まれ。農業エンジニアとして先端野菜貯蔵庫の空調設計を中心に活動。2013年から大型鉄製コンテナに入ったタマネギを大量に施設乾燥させるアスパレーションシステムの提供を開始し、業界の注目を浴びる。ポテトニュースジャパンウェブサイト(www.potatonews.jp)を運営するPotato News Japan(有)の代表編集委員で農業ジャーナリストの側面も持つ。北海道帯広市在住。
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