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新年特別企画

私のこれからの経営(後編)


6年前から東北農業研究センターと共同で大潟村に適した品種を探った結果、もち品種「ときめきもち」とうるち品種「ちほみのり」の二つを選抜した。
もち品種についていえば、大潟村ではこれまで「たつこもち」と「きぬのはだ」を作ってきた。ただ、外観が黒ずみやすい。ある実需者の話によれば、秋田県産のもち米はいずれも削る割合が12%なのに対し、九州産の「ひよくもち」は8%。これは「ひよくもち」のほうが外観が白いためである。この4%の歩留まりの違いは無視できない。
大潟村ではもち米の生産量が6000t強ある。その半分について、作期が同じということで「きぬのはだ」から「ときめきもち」に全量切り替えたい。昨年の作付面積は100ha。加工業者から切り替え要請が強まっていることに加え、生産者の手取りは主食用「あきたこまち」よりも高い。そのため、今年は250haを見込んでいる。とはいえ、昨年産のもち米は在庫があり、契約なしの作付けは危険だと感じている。
もう一つの「ちほみのり」は多収性の品種で10a当たり12~13俵は取れるうえ、現状の「もえみのり」よりいもち病に強い。昨年は2業者が計3haで作付けした。「ときめきもち」とともに、JAで種子を確保する。JA大潟村自ら原原種を生産し、種子を増産する。
酒米については秋田県が開発した「ぎんさん」に注目している。「ぎんさん」は、醸造適性が高いだけではなく、多収性や耐倒伏性も持ち合わせている有望な品種だ。地元の酒造会社・高清水と関西の酒造会社と契約栽培を進めている。県は収穫したコメを県外の酒造会社に販売してほしくないようだが、大潟村で作れば相当な生産量になるため、県外の酒造会社や酒造組合との契約も視野に入れたい。
■飼料用米について
全農や農水省が増産する飼料用米は作るつもりはない。今年に入って全農や農水省から受けた説明では、飼料用米を増産して米価を上げましょうと、米価が例年の水準にまで戻った段階で、また主食用米を作ってくれればいいということだった。だが、大潟村では主食用米の販売先が決まっている。それなのに米価を上げるために飼料用米に切り替えて主食用米の契約数量を減らし、米価が戻ったら、また取引先に主食用米を使ってくれというのは虫のいい話だろう。
それに飼料用米の乾燥・調製施設は太平洋側にあり、秋田県からは遠い。運賃や全農の手数料を払えばもうけはない。交付金があるから所得が出る状況だ。その交付金については現状の高水準がいつまで持つかは不透明。そんななか、飼料用米を生産するメリットや将来性はないと考えている。

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