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江刺の稲

縁故米無償譲渡の実態をどう見るか

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第237回 2016年02月04日

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まず米穀安定供給確保支援機構(米穀機構)が毎月公表しているデータ(下図)を見ていただきたい。平成27年11月、家族・知人などからコメを無償で入手した消費者の割合は25.4%。スーパーからの購入(46.1%)に次ぐ第2位。米穀専門店は2・7%に過ぎず、インターネットショップ(7%)や生産者から直接購入(6.1%)をはるかに凌駕している。さらに前月の10月期では27.2%、3割に近い人々がタダでコメを手にしている。
通年での入手経路を見ると、26年度の19.5%から23年度の23.5%と約2割。でも、小さな農家が親戚縁者にコメを送る場合、5kgや10kgという商品パックサイズというより、30kg・60kgといったコメ出荷レベルのサイズで送るのではないか。しかも、僕の身の回りで見聞きする例から想像すれば、玄米で送るケースも少なくないだろう(調査項目は精米)。この玄米を加算すれば、通年でも3割近い比率になるのではないか。
その送り主の大部分はいわば趣味的なコメ作りを続ける高齢小規模農家なのである。彼らにも10a当たり7500円の直接支払いがなされているわけだから、それを“補助金付き大規模家庭菜園”だと揶揄したとしてもあながち的外れではあるまい。そして、彼らはその残りを農協に出荷してコメの供給過剰をもたらしているわけだ。

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