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【土と施肥の基礎知識】
土はどのようにできたか?
- 東京農業大学 名誉教授 全国土の会 会長 後藤逸男
- 第2回 2016年02月04日
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世間では、土や泥といえば汚れたもの、汚いものと思われがちである。「俺の顔に泥を塗った」とか、相撲で負けることを「土がつく」、悪いことをする「泥棒」など悪いイメージがある反面、泥を顔や肌に塗りつける「泥エステ」があり、「泥つき野菜」からは安全・安心を感じる人もいらっしゃるだろう。
土や泥は全国各地で使われる用語であるが、新潟など北陸地方では土のことを「べと」という。おそらく、べとべとする重粘な土が多く分布するからだろう。
また、世界各地で土を食べる風習もある。胃腸薬の主成分は人工的な泥ともいえるケイ酸アルミニウムだ。さらに私たちは、土の上に建てた家に住み、土から収穫した農産物を食べている。これは農家ばかりでなく、一般の人もガーデニングを楽しんでいる。
このように土は私たちにとって最も身近な環境のひとつである。
一方、大学のカリキュラムでは「土壌学」、また土の健康診断を「土壌診断」という。その他にも、「土壌微生物」「土壌消毒」「土壌改良資材」など、農業では「土壌」という用語がよく使われるが、普段は「土」や「泥」ということが多い。
「土」と「土壌」はどう違うのだろうか。大きな辞書や漢和辞典をひも解いてみると、「土」とは大地を示す一線上に植物が生育した様を示す字で、「植物を生育させる大地」という意味があると思われる。一方、「壌」には「柔」あるいは「やわらかな肥えた土地」の意味がある。
それによく似た字で醸造の「醸」はすの意味で、微生物の働きで物質がゆっくり変化する現象である。さらにお嬢さんの「嬢」には「母(はは)」の意味があるそうだ。すなわち、「土壌」とは「植物をゆっくり育てる柔らかな母なる大地」と意味づけてよいのではなかろうか。
また、世界各地で土を食べる風習もある。胃腸薬の主成分は人工的な泥ともいえるケイ酸アルミニウムだ。さらに私たちは、土の上に建てた家に住み、土から収穫した農産物を食べている。これは農家ばかりでなく、一般の人もガーデニングを楽しんでいる。
このように土は私たちにとって最も身近な環境のひとつである。
一方、大学のカリキュラムでは「土壌学」、また土の健康診断を「土壌診断」という。その他にも、「土壌微生物」「土壌消毒」「土壌改良資材」など、農業では「土壌」という用語がよく使われるが、普段は「土」や「泥」ということが多い。
「土」と「土壌」はどう違うのだろうか。大きな辞書や漢和辞典をひも解いてみると、「土」とは大地を示す一線上に植物が生育した様を示す字で、「植物を生育させる大地」という意味があると思われる。一方、「壌」には「柔」あるいは「やわらかな肥えた土地」の意味がある。
それによく似た字で醸造の「醸」はすの意味で、微生物の働きで物質がゆっくり変化する現象である。さらにお嬢さんの「嬢」には「母(はは)」の意味があるそうだ。すなわち、「土壌」とは「植物をゆっくり育てる柔らかな母なる大地」と意味づけてよいのではなかろうか。
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後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
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