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土門「辛」聞

原点を忘れ、国内タックスへブンと化したJAの「高下駄営業」は目に余る


「農協は農協法によって守られています。規制もありますが、税金等の軽減措置等の利点もあります。JA葬祭は基本的に組合員向けの葬祭サービスを提供するのですが、組合員以外にも葬祭サービスを提供しています。農協法にある員外利用についての規定があります。全体の20%を超えなければ組合員以外の利用、すなわち員外利用は合法的です。しかし、特に首都圏ではJA葬祭の施行件数が明らかに多すぎます。すなわち員外利用が全体の20%を超えていると思われます。JA葬祭は農家でない人もJAの加入手続きを行い、出資金を払い込みすることで准会員(准組合員=筆者注)として葬儀を受注している様です。(組合員が資格を満たしているかのチェックは殆ど行われないのが現状です)専門葬儀社としては税制上に優遇措置もなく、圧倒的に競争上の不公平が発生しています」
葬儀は、高齢者の多い農協にとって大切な事業のひとつ。農協の正組合員だけでは、利用者を確保することが難しいので、どの農協も非農家の一般客にも准組合員の資格を与えて利用客にしてきた。その比率が正組合員の数をはるかに上回っている農協も少なくない。農協本来の趣旨を逸脱するのに、農協法は、これまで准組合員に対して規制をかけてこなかった。今回の農協改革では、その准組合員規制に初めて着手した。
専門葬儀社が歯ぎしりをするのは、JA葬祭がネットワークを活かした営業を展開していることだ。葬祭は、貯金や共済などの利用客を増やすため、非農家の一般客に准組合員の資格を与えてきた。最初は目くじらを立てるほどではなかった。正組合員が減ってくると、組織維持のため、なりふり構わない准組合員の獲得作戦を展開してきた。
その教科書のような例が、東京都小金井市に本店があるJA東京むさしだ。JR中央線の快速電車で新宿から30分ほどの距離にある典型的な都市近郊型農協だ。営業エリアの一般市民に、「農家でない方も一定金額をご出資いただければ『准組合員』になることができます」「申込書に必要事項をご記入の上、1000円(出資金1口分)と一緒に店舗へお申込みください」(ホームページ)と呼びかけて、ついに組合員2万7000人のうち准組合員が9割弱を占めた。
驚くべきは、その伸び方である。2005年度から10年間で2.5倍に増えた。15年3月末は、正組合員3204人、准組合員2万3414人だった。准組合員獲得戦法は、JAグループのネットワークをフルに活かしたものだ。

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