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特典(1)「住宅ローン、マイカーローン、教育ローン、リフォームローンなどの金利や保証料を優遇いたします」
特典(2)「JA東京むさし直売所で使え、一般カードの2倍のポイントが貯まる『組合員ポイントカード』をご利用いただけます」
特典(3)「JA東京健康管理センター(JR立川駅南口徒歩2分)の日帰り人間ドックを、組合員価格でご利用いただけます」
特典(4)「祭壇使用料を割引(5万円)いたします」
特典(5)「信頼できる建築業者を無料でご紹介いたします。専門家による法律・税務相談が無料で受けられます」
特典(6)「出資配当金(出資金に対する配当金、特別配当金(事業の利用高に対する配当金)」
客の囲い込みという点では完璧なビジネスモデル。随所にJAの特色を活かしているからだ。気になるのは、ライバルの金融機関との比較。まずローン金利や保証料を含めての比較なら結論的にはほぼ同等。ただ、ライバルの金融機関が絶対に太刀打ちできないのは、やはりJAがネットワークを活かしたサービスを展開していることだ。その一例は、JAグループの医療機関である東京健康管理センターでの人間ドックや、JA葬祭の祭壇使用料の割引だろう。
JA東京むさしは、15年3月期で1億7000万円の事業総利益を上げた。このなかには、犬や猫のペット葬儀も含まれている。その利益は、購買と販売の両事業で稼いだ事業総利益にほぼ匹敵する。東葬連も、都内農協に利用客を奪われ、彼らの准組合獲得作戦を無視できなくなり、先のような文書をホームページにアップしてきたのだ。
輸入農産物も売るのが
地域農業への貢献なのか
15年3月8日、島根県出雲市の地元の旧JAいずも直営の結婚式場「ラピタウェディングパレス」で、組合員が23万人と国内最大規模の「JAしまね」の設立記念祝賀会が開かれた。JA全中会長以下、JA全農、農林中央金庫、全共連のトップが駆けつけてきた。その結婚式場は、旧JAいずもの自慢の施設。縁結びの神、出雲大社にあやかって1965年にオープンしている。
JAしまねは、島根県松江市が本店。その名から連想できるように、県内11農協すべてが合併に参加した「1県1農協」の超マンモス農協だ。准組合員がちょうど7割を占める。これは全国5位の数字。その上には、大阪(80.8%)、北海道(80.3%)、神奈川(79.3%)、東京(78.3%)がある。地方では珍しく准組合員が大多数を占める農協なのだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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