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土門「辛」聞

原点を忘れ、国内タックスへブンと化したJAの「高下駄営業」は目に余る


JAしまねの萬代宣雄組合長は、その旧JAいずもの組合長だった。いまはJAしまね出雲地区本部だ。この農協は、准組合員など一般利用客を相手にした事業で業績を伸ばし、農協界ではお手本とされてきた。とくに農協界でスーパーやコンビニエンスストア事業にいち早く手をつけたことは、農協界では成功事例と紹介されている。
「ラピタ」と呼ぶスーパー部門は、そのルーツが1964年に創業したセルフ方式の「出雲生活センター」だ。89年に「ラピタ」と名称を変え、イメージ的にも協同組合からスーパーマーケットに衣替え。店舗も市役所前の一等地に構えた。
2005年、大手コンビニチェーンの一角、株式会社ファミリーマートと店舗展開で合意。店舗数は、10年間で15店舗(16年1月)になった。萬代氏は、進出の弁をこう語っている。
「地域密着を経営方針にするファミリーマートへは、JAから提携話をもちかけた。24時間営業の利便性と、若い世代へ情報発信できる拠点をつくる。それには、若年層との絆を深めて、組合員化を促進するねらいがあった。1号店の開店に当たっては、JAのやる気と本気を、利用者のみならず、ファミリーマート本部にも示すために、目玉商品の『フライドチキン』の売上げ日本一に挑戦。萬代氏は、会社経営や市議会議員の経験で培った人脈を使い、自ら率先して電話をかけまくった。役職員一丸となって取り組んだ結果は、オープン3日間で、それまでの最高記録の約6倍に当たる5万7049本。すぐに社長が感謝状を持って駆けつけてきた」(08年3月5日付け農業協同組合新聞)
確かに若い世代へ情報発信できる拠点をつくることができたかもしれないが、何も農協が率先して手を出す事業ではないと思う。何よりも地域農業に貢献という観点では貢献度ゼロだからだ。
何よりも笑ってしまうのは、萬代氏が、その人脈をフル回転して販売記録を打ち立てたフライドチキンは、いまもタイ産ということ。出雲地区本部のホームページには、自分たちの組織が農協であることを意識してか、「地元の新鮮な農産物・特産物を販売」とうたっているが、それは添えもの程度だ。ちなみに、JAしまね発足を祝う特売セールのチラシで目玉商品にしていたのも、「ワシントン州産 今が旬」と銘打ったアメリカン・チェリー(サクランボ)だった。

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JAしまねは、島根県11農協による「1県1農協」の体裁を取っているが、実際は、旧JAを地区本部にして独立採算制を採用。旧JAいずもは、JAしまね出雲地区本部となった。スーパー「ラピタ」や、コンビニチェーンが、農協の経営にどう反映されているか。旧JAいずものディスクロージャー誌の数字を追ってみた(図表参照)。

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