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特集

来たれ!TPP【中編・実践講座】

TPP協定の署名を受けて農業経営者はどう動くのか。2012年の特集「TPP後のわが農業」で取材した6名の経営者がこれまでの対応、そして将来ビジョンを縦横無尽に語る。   取材・まとめ/清水泰、構成/浅川芳裕、永井佳史

[提言]
日本農業にとってTPP発効は
生産活動を活発化する好機
農事組合法人株式会社和郷園 代表理事 木内 博一 氏

【自由貿易圏の拡大は生産者にプラスしかない】

TPPを日本の生産者から見ると、同じ条件で供給できる市場が環太平洋地域まで拡大したということです。しかも、交渉参加12カ国の国内総生産(GDP)は合計24兆ドル(2014年)と世界の4割近くを占め、人口はおよそ8億人。国際通貨基金(IMF)の見通しによると、20年には域内GDPが24%拡大し、人口も5%増という成長市場です。
一方、デフレ下の日本市場では国民所得の減少でモノの値段が下がり、少子高齢化による生産労働人口の減少などにより胃袋のパイも年々減っています。日本農業にとってTPP発効は生産活動を活発化する好機で、農業生産者にとっては本質的にプラスの要素しかないのです。
ただ、自由競争ですので、通用するもの(顧客に受け入れられる品目)と通用しないもの(受け入れられない品目)が出てきます。資本主義では当然といえ、マイナス要素にはなりません。にもかかわらず、農業生産者から悲観論が出てくるのは、日本農業の役割が国内供給に限定されてきた過去の経緯からでしょう。しかし、日本の市場は野菜や果物、花卉をはじめ、とっくに開放されています。
TPPの農業問題はひとくくりにされがちですが、あまりに乱暴な議論です。品目別に問題を整理し、個別に世界へ打って出る増産戦略なり、金銭的補償と時間的猶予を伴ったTPPの対応策なりを練り上げるべき、というのが私のかねてからの主張です。
必然的に農業改革を迫られることになるので、時代遅れになっていたり、賞味期限切れの政策や仕組みは変えていかざるを得ません。専業農家、地域の食産業や農地、あるいはそれらの資源を最大限産業化できる農業経営者に「ヒト・モノ・カネ」の支援を集中し、生産活動を活発化させる。そして、農業界と他産業、農業者同士が協調して地域に雇用と産業を生み出す。さらには農業をベースに強い国づくりを目指す。

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