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特集

来たれ!TPP【中編・実践講座】


庄内こめ工房は約120戸のコメ農家の出荷・販売を一手に引き受けています。数百t単位のコメを複数の外食産業に販売することで、経営の安定化を図ってきました。肥料・農薬の共同購入や機械の共有によるコスト削減、生産調整を受け入れながら機械の稼働率を上げるため、大豆などから加工米、飼料用米、輸出用米を作るコメ転作に戻しています。
現場の状況を踏まえた政策として、(1)規模拡大を可能にする農地法改正、(2)借りる・買うの決断をしやすくするための廃業ルールの明確化、(3)資金調達先の多様化、(4)点在でなく面的集積を促進する法案・仕組みづくり、を挙げたい。いずれも日本農業全体に通じるものではないでしょうか。
私たちはプロの生産者として誇りを持ち、「一次産業」の経営者として十分にやっていけます。コメ生産者の課題は明らかで打つべき手も見えています。直接支払い制度のばらまきを止め、コスト意識を持って規模拡大する農業者に重点的に配分する。そうすれば数年で国際競争力のある農場が全国に誕生するでしょう。コスト競争力がついた日本のうまいコメは世界で通用します。だから、絶対に例外扱いしてはならない。
輸出は現行法でも可能(輸出用米の作付けは減反にカウント)。海外市場を見ながらTPP参加国や中国をターゲットに輸出機会を増やしたいです。

2016
【大筋合意の内容は「残念」、自由化に逆行する高米価政策の継続】

今回のコメに関する大筋合意の内容は「残念」の一言です。正直、これほど守られた条件で決着するとは思いませんでした。高関税を維持する代わりに輸入枠を増やし、その増枠分は政府が買い上げる国産米の量を増やして吸収する。結局、コメの供給量は変わらないので市場への影響は皆無でしょう。自由化に逆行する高米価政策の継続です。
TPPでコメの関税を引き下げ、最終的には撤廃する。日本のコメ市場がTPP域内で自由化され、世界市場の一部になれば、国内外のコメ農家による競争が本格化します。日本のコメ農家は生産コストを下げても経営が成り立つ体制づくりを進め、収益機会を求める動きが活発化するでしょう。農業経営者としての手腕が問われる環境に適した前ページ(1)~(4)の法整備過程で小規模兼業農家は淘汰され、プロのコメ農家に農地が集約されます。
多収米の供給に関して外食産業と長期契約を結んで収益の安定化を図る、需要に対して貿易量の少ないジャポニカ米の輸出に注力したり、高付加価値・高価格のブランド米に特化するとか、経営の方向性には多くの選択肢があります。コメづくりの技術と経営資源をベースに、複数のやり方を同時展開することも可能です。

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