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【成田重行流地域開発の戦略学】
大消費地を活用した販路開拓(上)
- 第5回 2016年03月09日
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成田重行さんは全国30カ所に及ぶ地域開発プロデューサーとしての仕事をするなかで、地域の人たちが最も厄介に感じているのはモノを売ることだと気づいた。農山漁村にはすばらしい一次産品やその加工品が存在する。ただ、それらを商品化できていない、あるいはできていても売り先をつくれないといった事態に陥っている。そうした眠っている宝物に光を当てるにはどうすればいいのか。そんな問いにひとつの答えを示すため、成田さんはある実験を試みている。
地域を大消費地とつなぐ
販路拡大構想
本連載で前号まで続いた「大島と緑の真珠」シリーズの最終回を書き終えた1月下旬。次の取材先を決めるため、成田さんと都内で会うことになった。
場所として指定されたのは新宿御苑にあるレストラン「ゆりのき」。新宿御苑ゆかりの食材を使った料理を提供する店として人気を得ている。新宿御苑といえば、本連載の初回で紹介したように、江戸時代に「内藤とうがらし」が広まっていったところ。それにちなんで、レストランのメニューには内藤とうがらしを活かしたアイスやケーキなども並ぶ。
ここで待っていると、すぐに成田さんが一人の女性を連れてやってきた。NPO法人おいしい水大使館の理事長・阿部千由紀さんだ。同NPOでは、顧問・成田さんと一緒に内藤とうがらしを普及させている。連載についての打ち合わせを始めると、成田さんは次のように切り出してきた。
「地域が最も困っているのは販路をどうつくるか。その答えとなるひとつのモデルをつくるため、いま、ある実験をしているところなんですよ」
成田さんは、地域開発プロデューサーとしての経験や地域から寄せられた相談の内容を振り返り、販路の開拓に悩みを抱える地域が圧倒的に多いことを知るようになった。自治体は販路を築こうと、大消費地にサテライト店舗を設けている。ただ、果たしてそのどれだけが採算を取れているのかは疑問である。
こうした課題を「成田重行流」に解決してみようじゃないか――。そんな思いから、成田さんが現在進行形で取り組んでいる実験がある。福岡県豊前市の物産品を、新宿という大消費地で売るモデルを構築するというものだ。
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