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トウモロコシのはなし

トウモロコシとカビ毒(2)


家畜では白質脳軟化症(馬)、肺水腫(豚)などの原因とされている。
●ゼアラレノン
ゼアラレノンはDON・NIV、フモニシンと同じくFusarium属菌により栽培時に産出されるカビ毒で、国内でも比較的検出率が高い。
ヒトでは発がん性や摂食試験による影響が確認されていないため、国内では基準値が定められていない。
家畜(豚)におけるゼアラレノンの被害は深刻で、繁殖障害(流産、不妊など)や食欲減退を引き起こし、ひどい場合には死亡する例もある。
●アフラトキシン
アフラトキシンはこれまでの報告データや分布状況から国内のトウモロコシ栽培では極めてリスクが低いと考えられている。しかし、国内の穀類での発生がまったくないわけでもない。ヒトにおける発がん性が高いことから、万が一発生した場合には甚大な被害が出る可能性があるため、今後注意してモニタリングしていく必要のあるカビ毒の一つである。
Aspergillus属菌が産出するカビ毒で、これまで紹介したものが収穫後に増加することがないのに対して、アフラトキシンは収穫後の水分や温度管理が不適切だと、貯蔵段階でも産出されることが知られている。とくに高温下ではアフラトキシン量が高くなるという報告がある。
前回も紹介したが、食品では総アフラトキシン量を10マイクロg/kgを超える食品、アフラトキシンM1が0.5マイクロg/kgを超える乳については今年1月から食品衛生法違反として取り扱われることになった。
アフラトキシンは飼料から牛の乳中に移行することから、カビ毒のなかでは唯一乳牛用飼料に指導基準が設けられている。

カビ毒を防ぐ管理と対策

ここまで見てきたなかで、カビ発生とカビ毒産出には二つのパターンがある。一つはトウモロコシ栽培期間中に菌が感染してカビ毒が産出されるもの、もう一つは主に収穫後に菌が増殖してカビ毒が増加するものである。防除にあたっては、これらの観点から管理体制を整える必要がある。
【栽培期間中の注意点】
いわずもがな、まずは圃場の管理である。基本的な土壌病害の防除と同じく、収穫残さなどを放置すると病原菌の温床になるため、ルーチンの圃場管理として日ごろから収穫残さを丁寧に取り除く必要がある。
また、国産トウモロコシには、茎葉よりも穂により多くのフモニシンが分布しているという報告もあることから、穂自体にいかにカビを発生させないようにするかもポイントになる。

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