記事閲覧
【土と施肥の基礎知識】
土は何からできている?
- 東京農業大学 名誉教授 全国土の会 会長 後藤逸男
- 第3回 2016年03月09日
- この記事をPDFで読む
筆者は東京農業大学在職中にたびたび海外での土壌診断調査にも出かけたが、その際には、必ず事前に農林水産大臣宛てに土壌特別輸入許可申請を行なっていた。害虫や病原菌などの国内への流入を防ぐため、土壌が輸入禁止品目にリストアップされているからだ。
ただし、岩石あるいはその粉であれば、それには該当しない。その境目は、植物根が混入していないことと黒みを帯びていないことだそうだ。すなわち、土壌としての必須条件は有機物を含むことである。
有機物とは炭素を含んだ高分子化合物から構成される物質で、土の中には植物根のほかにミミズやダニのような土壌動物、細菌やカビのような土壌微生物などの生物と、それらの遺体やそれらが分解してできた腐植として含まれている。
なお、空気中の二酸化炭素、土壌の酸性改良に使う苦土カルに含まれる炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム、料理に使うふくらし粉(重曹)に含まれる炭酸水素カルシウムは、いずれも炭素を含んだ化合物であるが、有機物には分類されない。
ちなみに最も簡単な化学構造を持つ有機物はメタンである。
2.土の中には宝石が
有機物以外の土の成分が無機物で、具体的には礫(れき)・砂・粘土から構成される。
礫とは直径2mm以上の岩石のかけらで、学術的に表現すると造岩鉱物の集合体ということになるが、わかりやすくいえば「石」である。とはいえ、石は学術用語ではないので、「石につまずいて転んだ!」は「礫につまずいて転んだ!」と言うべきだろう。
砂とは直径0.002~2mmの粒子と定義され、岩石を構成する造岩鉱物が物理的風化作用によりバラバラになった物質で、具体的には石英・正長石・白雲母などである。いずれも、風化しにくい造岩鉱物で、岩石の中に含まれていた結晶構造がそのまま残っている。
有機物とは炭素を含んだ高分子化合物から構成される物質で、土の中には植物根のほかにミミズやダニのような土壌動物、細菌やカビのような土壌微生物などの生物と、それらの遺体やそれらが分解してできた腐植として含まれている。
なお、空気中の二酸化炭素、土壌の酸性改良に使う苦土カルに含まれる炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム、料理に使うふくらし粉(重曹)に含まれる炭酸水素カルシウムは、いずれも炭素を含んだ化合物であるが、有機物には分類されない。
ちなみに最も簡単な化学構造を持つ有機物はメタンである。
2.土の中には宝石が
ちりばめられている
有機物以外の土の成分が無機物で、具体的には礫(れき)・砂・粘土から構成される。
礫とは直径2mm以上の岩石のかけらで、学術的に表現すると造岩鉱物の集合体ということになるが、わかりやすくいえば「石」である。とはいえ、石は学術用語ではないので、「石につまずいて転んだ!」は「礫につまずいて転んだ!」と言うべきだろう。
砂とは直径0.002~2mmの粒子と定義され、岩石を構成する造岩鉱物が物理的風化作用によりバラバラになった物質で、具体的には石英・正長石・白雲母などである。いずれも、風化しにくい造岩鉱物で、岩石の中に含まれていた結晶構造がそのまま残っている。
会員の方はここからログイン
後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
