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土と施肥の基礎知識

土は何からできている?

1. 有機物が土の必須成分

筆者は東京農業大学在職中にたびたび海外での土壌診断調査にも出かけたが、その際には、必ず事前に農林水産大臣宛てに土壌特別輸入許可申請を行なっていた。害虫や病原菌などの国内への流入を防ぐため、土壌が輸入禁止品目にリストアップされているからだ。
ただし、岩石あるいはその粉であれば、それには該当しない。その境目は、植物根が混入していないことと黒みを帯びていないことだそうだ。すなわち、土壌としての必須条件は有機物を含むことである。
有機物とは炭素を含んだ高分子化合物から構成される物質で、土の中には植物根のほかにミミズやダニのような土壌動物、細菌やカビのような土壌微生物などの生物と、それらの遺体やそれらが分解してできた腐植として含まれている。
なお、空気中の二酸化炭素、土壌の酸性改良に使う苦土カルに含まれる炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム、料理に使うふくらし粉(重曹)に含まれる炭酸水素カルシウムは、いずれも炭素を含んだ化合物であるが、有機物には分類されない。
ちなみに最も簡単な化学構造を持つ有機物はメタンである。

2.土の中には宝石が
ちりばめられている

有機物以外の土の成分が無機物で、具体的には礫(れき)・砂・粘土から構成される。
礫とは直径2mm以上の岩石のかけらで、学術的に表現すると造岩鉱物の集合体ということになるが、わかりやすくいえば「石」である。とはいえ、石は学術用語ではないので、「石につまずいて転んだ!」は「礫につまずいて転んだ!」と言うべきだろう。
砂とは直径0.002~2mmの粒子と定義され、岩石を構成する造岩鉱物が物理的風化作用によりバラバラになった物質で、具体的には石英・正長石・白雲母などである。いずれも、風化しにくい造岩鉱物で、岩石の中に含まれていた結晶構造がそのまま残っている。

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